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ウィズ便り




介護現場の体験談を中心に、福祉用具についてのご紹介、介護保険等に関する情報を定期的に発信させて頂きます。
弊社とお客様のコミュニケーションの一助となれば幸いです。

心温まるストーリー★介護の現場から~介護すること、されること~★

自分で自由に出かけたいの!〜思いは叶う〜

2024-07-11
自分で自由に出かけたいの!〜思いは叶う〜
脳梗塞により右半身麻痺があるTさん。「電動カートがあるから自分でどこにでも行ける。困ったことがあった時は近くにいる人にお願いすれば助けてくれるよ!」と明るく話して下さいます。

 Tさんは今から2年半前に脳梗塞発症、在宅復帰を強く希望され、6か月の入院生活でリハビリに励んでこられましたが右半身の麻痺が残りました。
しかも、お一人暮らしで、自宅は2階建て住宅、生活空間が1階、2階に分かれているため玄関上り框の段差や寝室への階段昇降、入浴動作など退院に向けては大きな課題がありました。また、自宅前の道路は狭く、タクシーなど車両が入れない幅で外出手段も検討が必要でした。
 介助用の車椅子やトイレの据え置き型手すり、玄関や階段の手すり設置など住環境を整えていきましたが、不安の残るまま、退院の日を迎えました。
                 <電動カート:イメージ図>
 退院当時のTさんは、杖や手すりを支えに家の中を移動するのがやっとの状態で、
私達支援者の間では、お一人暮らしは転倒など事故のリスクが非常に高いと感じて
いました。
 「トイレまでの移動、トイレ内での動作は大丈夫ですか?」「手すりの足りない箇所はないですか?」と声をかける私達に対して、「大丈夫!慎重にやるから。やってみてアカンかったらまた頼むわ!」と非常に前向きに力強く答えて下さいました。
 
以前はお店を経営され、仕事を辞めてからも元従業員の方たちなど、たくさんのご友人と生活を楽しんでこられたTさん。退院後も、ご友人の方たちが手助けに訪問され、ヘルパーサービスも活用し、当初の不安をよそに順調な在宅生活が進んでいきました。

 数日後、Tさんより「自分1人で外出できるように電動カートを使いたい。」とご連絡を頂きました。実は入院中よりご相談はあったのですが、自宅玄関での保管方法や出かけた先での杖歩行の不安があり、見送りとなっていました。今回はご本人の熱い思いに応えて、試乗していただくことになりました。チャレンジ精神旺盛で器用なTさんは、狭い道路から直角に曲がる玄関への車庫入れもなんなくクリアされました。「これならいけるわ!でも慣れるまでは怖い部分もあるから安全運転でいかないとな。」と電動カートの利用が始まりました。

 そこから早2年が経過し、今ではなんと1ヶ月の最高走行距離120km、九州に2度、横浜へも1度、新幹線で旅行に行かれています!
(利用可能サイズ内であれば電動カートも新幹線に乗れます。詳しくは、JRのホームページ等をご参照下さい)
「行きたいところへ自分の思うタイミングで出かけることができて、電動カートはとても役立っています。」とご満足いただき、
さらに訪問介護などのサービス費やタクシー代の節約にもなっているとの事です。
 体力をつけること、麻痺の残る身体が少しでも動きやすくなるための努力も惜しまず、さまざまな情報を収集され、リハビリを継続されています。

「私が電動カートを上手く乗りこなして、どこにでも自由に行けていることを知って、頑張ろうと思ってくれる人がいると良いね。」と今回記事にすることを快諾頂きました。
 電動カートに限らず、福祉用具の利用により、ご本人やご家族が望む生活を実現し、笑顔で暮らせるお手伝いをする事を、福祉用具専門相談員の使命として奮闘努力していきたいと思います。


                                         株式会社ウィズ 大阪西営業所 福祉用具専門相談員 松田直之

安心して退院を迎えるために

2024-04-15
安心して退院を迎えるために
吹田市民病院での勉強会の様子
 
 2月末、吹田市民病院の職員(理学療法士、作業療法士、看護師、患者支援センター相談員)に向けて、ご退院時の支援として、ご自宅で利用できる介護保険サービスについての勉強会を開催させて頂きました。

病院を退院される際、福祉用具を利用したり、手すりを取り付けるなど、ご自宅の住環境整備が必要な場合が多くあります。退院してから準備するとなると、設置や工事に時間がかかり、ご自宅での生活にすぐに対応できない場合があります。退院前にお身体の状況などを共有することで、その人に合った福祉用具の選定や住環境整備の調整ができるようになり、在宅生活を想定した福祉用具を退院前に試していただくこともできます。

医療と在宅サービス事業所が連携をとることで、ご本人も安心して在宅復帰に臨めることをお話ししました。
例えば・・・実際の退院時の連携のケースをご紹介いたします。

65歳の女性Aさんは、膠原病の持病をお持ちで、起立性低血圧もあり、昨年末に室内でふらつき転倒され、左大腿骨骨折により入院されます。3月末の退院に向て、妹様が地域包括支援センターに相談され、福祉用具専門相談員に連絡が入りました。

 退院に向けて、まずは自宅の環境を確認する必要がある為、2月末、妹様とご自宅に訪問させていただきました。ご本人の状態を妹様から聞かせて頂き、玄関上がり框の30cmの段差やベランダ出入りの段差、トイレ、浴室や居室内移動用の手すり、室内用歩行器、外出用歩行器など様々な用具の必要性が考えられました。
 具体的に退院日が決まった3月中旬、今度はご本人と入院先の病院の理学療法士、退院後から担当されるケアマネジャーとご自宅で再度家屋評価を行いました。前回一度ご自宅を拝見していたので、最低限必要と思われる福祉用具を持参し、実際にご自宅で福祉用具を設置して、退院後の生活を実践していただくことができました。理学療法士の方に同席いただき、自宅内の動作を確認し、トイレの手すりは不要となり、室内の移動も病院で使用している同タイプの歩行器で安全に移動できることが確認できました。退院直後から必要となる、玄関の踏台付き手すりや室内用歩行器はその日のうちに納品させていただき、屋外用の歩行器は病院に持ち帰り、退院まで病院で練習することとなりました。退院日にはベランダ出入口に踏台付き手すりを設置し、家事を含む日常生活全ての動線において、お一人の生活が安全に自立して行えるようになりました。
 入院前は近くの保育園に通うお孫様の送迎に行かれたり、一緒に夕食を共にされたりと、ご家族のサポートをされていたAさん。退院後間もない為、送迎はまだ難しいですが、簡単な食事をつくり、週に何日かはお孫様と一緒に夕食を共にされているようで、賑やかな食卓の風景が目に浮かびます。退院後もふらつきはあるようですが、室内用の歩行器があることで、安心して自宅内の移動ができるようになりました。リハビリにも意欲的に取り組まれ、お孫様の保育園送迎など、元の生活に戻られる日を目標に筋力アップに励まれています。

今後も病院や多職種の方と連携し、在宅復帰をされる利用者様が住み慣れたご自宅で、自分のやりたいことを続け、安心して暮らしていけるように、福祉用具や住環境整備を通してサポートしていきたいと思います。


                                                  株式会社ウィズ吹田     梶野 純
                                                  株式会社ウィズショールーム 記虎邦之 

室内用歩行器
ベランダ手すり

笑顔の原動力

2023-12-01
笑顔の原動力
いつも明るくエネルギッシュなカナダ出身のTさん(52歳)。
そのバイタリティの源は何ですか?と伺うと関西弁で「やっぱ家族と仕事やで、ハハハッ」と、ばりばりの関西弁で話してくださいます。
そして豪快に笑う姿はとても魅力的で、お会いするといつもパワーを分けてもらいます。
 
 23歳の時に来日され、大阪で英会話講師と労働組合職員として働かれていました。趣味は日曜大工で、ダイニングテーブルをご自身で作られ、そのテーブルを囲みお酒を楽しまれています。現在は、労働組合で外国人の方々の労働環境を守るという使命の元、事務局長として活躍されいます。今日まで多くの人たちがTさんに勇気づけられ、日本で仕事を続けてこられた事でしょう。

 2009年38歳の時、ひどい頭痛に見舞われ、腰の激しい痛みで救急搬送されます。動静脈奇形が原因と考えられる非常に珍しい硬膜内血腫により下半身不随となります。
 「車いすは相棒ですわ。」とTさんは仰います。障がい者手帳を取得されると車いすを作成。弊社との出会いはこの時でした。
 一年間のリハビリの後、自宅での生活をするにあたり、駐車場に昇降リフトを設置されます。幸いにも一階のリビングの窓が大きかった為、玄関を通らず車いすのままご自宅に入ることができました。また、シャワー浴が一人で行えるように、シャワーキャリーを導入。最初はデイサービスで入浴をされていたそうですが、デイサービスまで行く時間が必要です。ご自宅で入浴ができれば、より多く自分の時間を作ることができます。後輪タイヤが小さい介助タイプが多い中、日本の浴室に適応できるコンパクトでありながら自走する事ができるシャワーキャリーを選定させて頂きました。
こうして福祉用具を活用することで、電動ベッドから、車いす、シャワーキャリー、便器へと、ご自身で乗り移られ、トイレや入浴等の動作も家族の介助を頼ることなく、ほぼ自立しておられます。
               株式会社ミキ お風呂用車いす MH-1
「日本の福祉制度は優れている。カナダよりきめ細かいと僕は思うよ。」と仰るTさん。

日本には福祉で利用できる制度が様々ありますが、実際に当事者にならないと知り得ない制度もたくさんあると思います。

 障がいと共に生きていくということがどれほど大変な事かTさんに伺うと「塞ぎ込む事もあったよ、辛い事もあった。でも僕には家族がいるし、職場で働く仲間もいる。」と話してくださいました。

 Tさんの言葉が多くの人たちを勇気づけ、次に進む原動力になっている事を噛み締める出会いとなりました。Tさんのように、私自身も、「バイタリティの源は仕事やで。」と言える精一杯の働きができるよう、努力していきたいと思います。

これからもどうぞよろしくお願い致します。


          株式会社ウィズショールーム 福祉用具専門相談員 柳川正樹

                    Tさんとご家族様

自立を目指して、移乗シートで出来る事

2023-11-01
自立を目指して、移乗シートで出来る事
 皆様はトランスファーシートという移乗シート(以下、トランスファーシート)をご存じでしょうか?
介護現場でご利用者のお身体の下に敷きこんで、ベッド上での位置修正や寝返りの補助等の介助が楽にできる、とても便利なアイテム(福祉用具)です。

 私たち横浜営業所で、平成19年から福祉用具をご利用頂いているFさんは、介護保険のレンタルでこのトランスファーシートをご利用されておられます。
 Fさんとは紙おむつのご相談から始まりました。Fさんは横浜で昭和12年創業の老舗の銭湯を2代目として経営されておられました。
場所は、横浜山手・本牧界隈にあり、山を隔てて隣には有名な横浜中華街があります。
ちなみに横浜本牧は、かつて米軍基地のあった街で、ジャズダンス発祥の地。アメリカンなレストランやカフェ雑貨屋が多くあります。
戦後の横浜は、米軍基地が近くにあることもあり、ディスコがあり、アメリカ人がプレーするベースボールを見物したり、東京から多くの若者が横浜本牧の地へ集まってきたそうです。
外国人の方も日本の文化を肌で感じたいと、日本の銭湯を利用したとの事で、Fさんもその影響で英語がとても堪能です。
Fさんは大学に進学を希望されていたのですが、その時期に体調を崩された初代の父から、家業である銭湯を継いでほしいと言われ、家業を継ぐ決断をされました。
今は3代目の息子様が経営を引き継がれています。

 Fさんが60才の時、大掃除中、脚立から転落し、胸椎を強打されました。
現在は外傷性脊髄損傷による両下肢の対麻痺の為、ご家族や介護サービスの支援が必要です。麻痺があるため、腰から臀部にかけての床ずれのリスクが高く、エアーマットの利用と訪問看護の病状管理は欠かせません。介護ベッドは起き上がりの為に非常に助かっているとの事。ご家族もお仕事が忙しく、独居ということもあり、見守りは欠かすことはできませんが、できることは積極的に自分でして、在宅生活を楽しみたいと何事も意欲的な方です。

これまで入退院を繰り返されていましたが、車いす生活を経て現在は在宅生活が安定されておられます。
ご家族やヘルパーさんがご本人を車いすから介護ベッドへ移乗介助する時、ベッド上で正しい寝位置へ修正する為に、トランスファーシートを活用しておられます。

まず、トランスファーシートを介護ベッドの上に置いた状態で、車いすからベッドへ乗り移り、トランスファーシートの上にご本人を移すと、あとはトランスファーシートが四方に滑るので、寝る位置を楽に調整できます。
シート自体滑る生地なので、力もいらず、ご本人の皮膚への負担を確実に減らすことができます。
最終的にご本人が両手で左右のベッド柵を握って、少し調整しながら完了。自立支援にも役に立っています。
このシートを使う前は、防水シーツ等による摩擦で皮膚にダメージを受け、介護者も力で動かそうとされるため、皮膚に負担がかかり、大変でした。
今では、ヘルパーさんも皆さん積極的にトランスファーシートを使ってくれて助かっていますと、うれしいお言葉を頂きました。

 今後は少し苦手意識があるヘルパーさんにも自信をもって使ってほしいと考え、現在事業者様向けの研修会を企画中です。

 現在介護施設では、施設職員の腰痛対策でトランスファーシートのような移乗シートを導入されるところが増えています。在宅の現場でも同様に、ご家族や介護サービスに携わる方が、このような商品を知ってもらう事で介護負担の軽減ができ、自立支援につながるよう、弊社からもっと情報を発信していきたいと思います。
     

  
                                       株式会社ウィズ 横浜営業所 福祉用具専門相談員 福井智裕

        トランスファーシートの特徴
      トランスファーシート使用方法 一例
      トランスファーシート使用方法 一例 

乗り移りしやすい車いす

2023-10-02
乗り移りしやすい車いす
 90歳のEさんはパソコンが趣味で、ネットショッピングや動画鑑賞、音楽を聴くのが好きな方です。
私がEさんに出会ったのは令和5年5月で、当時は奥様、息子様夫婦と4人暮らしをされていました。

 Eさんが68歳の頃、脳出血を発症し、その影響で左半身に麻痺が残りました。
屋内の移動は車いすを使用してご自身で行っており、ベッドや椅子から車いすへの移乗(乗り移り)も可能でしたが、令和5年1月に、椅子から転倒してしまい、寝たきりの状態になってしまいました。
 ベッドから車いすに移ることが一人ではできなくなり、ちょっとした移動や趣味のパソコンをしに自室へ行こうにも、誰かにベッドから車いすに移る動作を手伝ってもらわないといけないのが煩わしく感じておられました。家族様も意欲の低下につながらないか心配されていました。なんとか自分の力で車いすに移ることはできないかとEさんから相談を受けて、ラクーネという車いすのレンタルを提案させて頂きました。
 ラクーネは車いすの肘おきの部分を持ち上げるだけで車輪が後方に移動し、サイドガードを横に倒すと、ベッド・車いす間の橋渡しになる特殊な車いすで、一旦立ち上がる動作をしなくても、座ったままお尻を滑らせて横移動で乗り移ることができ、移乗動作の負担を軽減できるのが特徴です。

 しかし、ラクーネ導入当初は身体が思うように動かせず、一人で移乗することができない為、結局家族様の補助が必要な状態でした。自分一人で移乗することを目標に、毎日ラクーネを使ってベッドから車いすへの移乗練習をし、麻痺のない右半身の使い方や動かし方を工夫するなどの努力によって徐々にコツをつかみ、驚くことに一週間ほどの練習で、一人で移乗することができるようになりました。
 Eさんは、「家族に迷惑をかけることなく、自分の部屋へ趣味のパソコンをしに行けるようになって嬉しい。麻痺側だけでなく、右半身の運動にもなる。」と大変気に入っていただけました。車いすに一人で乗り移れるようになって、Eさんは以前より意欲的に行動されるようになり、趣味のパソコンを触る頻度も増えました。ベッド上で過ごす時間も減り、家族様にも「介護の負担が減って助かりました」と感謝のお言葉をいただきました。

 令和5年7月に介護施設へ入所されることになり、在宅サービスであるラクーネのレンタルも終了となりました。しかし、入所先の施設でも自立した生活を続けたいという思いから、ラクーネを購入して使っていただいており、今では在宅の頃よりも短い時間で移乗ができるようになったとのことです。自分で出来ることは自分でやり続けることを目標に日々過ごされています。
 福祉用具を使うことで出来なかったことが出来るようになった、介護の負担が減ったと感謝していただくことが、福祉用具専門相談員としてなによりのやりがいです。これからもご利用者一人一人に合った適切な対応に努めていきたいと思います。


株式会社ウィズ 東住吉営業所 福祉用具専門相談員 嶋田 流我

 【ラクーネ2】の動画はこちら⇨株式会社ミキ 公式YOUTUBE https://youtu.be/r5HqR-a-FBs?si=lPlwOlfDN72hEjGx
          横乗り車いす【ラクーネ2】 メーカー:株式会社ミキ
               アームレストが移乗ボードに変身します
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