介護現場の体験談を中心に、福祉用具についてのご紹介、介護保険等に関する情報を定期的に発信させて頂きます。
弊社とお客様のコミュニケーションの一助となれば幸いです。
心温まるストーリー★介護の現場から~介護すること、されること~★
住み慣れた地域での生活
2023-04-03
住み慣れた地域での生活
Tさんは、50年に渡りこの地域で生活され、ご近所には古くからの馴染みの方が多く、地域の方々に見守られ温かい環境で過ごされています。
元々活発な方で、旦那様の理解もあり、友人たちとプールやゴルフを楽しまれ、毎日散歩にも出ておられました。
旦那様を7年前に亡くされ、現在はお一人暮らしではありますが、長男様が頻繁に様子を見に来られ、安心して生活をされていました。
昨年に左足の重さ・だるさを感じ、近くの整形外科を受診、医師からは骨粗鬆症の診断を受け、服薬、治療をしてこられました。
しかし良くなることはなく、日に日に痛みも強くなり、友人に相談し別の病院を受診。
精密検査の結果は、もっと深刻な診断でした。
検査結果を聞く時に同席されていた長男様も当時を振り返り、「そこまで悪いと思っていなかったので、聞いた時は肝が冷えた」とおっしゃっておられました。
その後手術を受け、異常があった部分の治療を無事に終え、リハビリの末、今年1月に退院してこられました。
退院後の足の状態は、足先が下がってしまう下垂足となり、外出をされる際には、転倒防止の為に装具が必須となりました。
退院後の足の状態は、足先が下がってしまう下垂足となり、外出をされる際には、転倒防止の為に装具が必須となりました。
室内では装具は装着せずに過ごしておられましたが、寝室が2階にあり、階段ののぼりおりの際に足が階段に引っかかり、
転落の危険性があった為、やむなく寝室を1階へ移してこられました。
しかしベッドはリビングルームに置いておられ、来客に気を遣う状態でありました。
まずはきちんと寝室を作りたいというご相談を頂き、お伺いさせて頂くこととなりました。
1階奥に物置になってしまった部屋があり、そこを寝室に改修することとなりました。
その為には、まず大量の荷物を整理処分する必要があり、長男様にご協力いただきました。
お部屋入口に7cmの段差があり、下垂足が引っかかり転倒の危険性が高いため、床を嵩上げし段差をなくしました。
また、足を滑らせて転倒するリスクも高い為、床材を板間から滑りにくいクッションフロアにしました。
あとは季節問わず快適にお過ごし頂ける様に、エアコンの設置も行いました。
また、洗濯機や物干し場が2階にあったため、1階で洗濯を行えるようにするのはどうかと提案をさせて頂きましたが、
急激に大きく生活環境を変えることに戸惑いがあるご様子であった為、ひとまず洗濯の件は息子様ご夫婦のご協力を頂くことになりました。
改修のポイントは、寝室を作ることで、トイレや浴室への動線を短くすること、寝食の場所をきちんと分け、生活のメリハリをつけることです。
以前のような活動的な生活を取り戻していただきたいと考えました。
改修後はリビングルームに置いていたベッドがなくなり、ご友人たちが来られても、気兼ねなくリビングルームにお通しできるようになりました。
改修後はリビングルームに置いていたベッドがなくなり、ご友人たちが来られても、気兼ねなくリビングルームにお通しできるようになりました。
また以前のように、自宅でご友人たちを招いてお話しができると喜んでおられます。
施設という選択肢も考えておられたようですが、長年住んでいるこの家、この地域での生活を息子様や友人、
地域のコーディネーターの方々に見守られながら、安心して続けていけるようにしたいと話すご本人。
ご本人が望む生活のお手伝いができるこの仕事の大切さを改めて実感させて頂きました。
今後も身体状況の変化に合わせ、住環境を見直し、自宅での生活が楽しめるよう継続して支援させて頂きます。
株式会社ウィズ 東住吉営業所 福祉用具専門相談員 芦硲健人

Kさんと車いす
2023-03-06
Kさんと車いす
Kさんはルールを大切をされる真面目な方でした。
長年、鉄工業を営まれる中で、膝関節の痛みが続き、歩行も困難になってこられました。
元々、活発でご家族思いのKさんは、以前と同じように、ご家族と一緒に楽しみをもちたいと願われ、両膝関節及び頚椎の手術を受けられました。
術後、動けない身体ではいけないと奮起され、お孫様との外出を目標に、自宅に帰れる日を目指し、必死にリハビリに励まれました。
退院後も手指のリハビリになるからと、内職等もされながら、近隣の散歩を欠かさず、体力維持・向上に努められました。
しかし、自宅から病院までの片道1㎞の移動が難しくなられ、ご自身の力で移動したいとの思いから、移動方法のご相談を頂きました。
カンファレンスの中でご意向を確認し、電動車いす利用について検討、操作や周辺環境及び安全な移動ルートの確認をご一緒させて頂き、ご利用がスタートしました。
活動的なKさんは、いつも敬老会の旅行やご夫婦、家族様、特にお孫様とのお買い物等、電動車いすでの外出時の様子を、充実した表情で嬉しそうに話して下さいました。
また電動車いすでの体験談をお聞きし、交通環境の相談を頂きました。ご自身の体験として、病院や整骨院への外出の際に、自動車が自分のすぐ横をとても速いスピードで通り過ぎて接触しそうになり怖かったことや、走行中に後方の自動車に気づき、停車して進路を譲ったが、後方に張り付かれる等の怖い体験を伺いました。
どのようにすれば安心して移動できるか話し合い、交通量が少ないルートの選別、ドライバーに認識してもらえるライトを取り付ける等、様々なことに一緒に取り組みました。
その中で、いつも電動車いすがドライバーからは死角になりやすく、認識し辛く迷惑をかけてしまわれると嘆いておられました。
「車いすで移動することで周りに迷惑がかからないように、自分は絶対に交通ルールを守らないといけない」という思いも、より強くなっていかれました。
同時に、多くの方が交通ルールを守ることで、車いす利用者を含む誰もが過ごし易い環境にしてほしいとの願いを話していただきました。
当時のKさんのお話を思い返すたび、前向きな思いや、ご自身のことだけでなく、周囲の相手を思いやる温かさを感じます。
そして福祉用具専門相談員は、福祉用具のことだけでなく、ご利用様から教えていただけるたくさんの現場の生の声を、もっと社会に伝えていく役割があることを実感させていただきました。
Kさんは昨年91歳で永眠されましたが、平成21年からご利用いただき、その間お怪我等なく、ご利用いただくことができました。Kさんの家族様には、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
株式会社ウィズ 東大阪センター 福祉用具専門相談員 則定 学

コギー(足漕ぎ車いす)をテレビでみて
2023-02-07
コギー(足漕ぎ車いす)をテレビでみて
81歳のAさんは、元々脳原生運動機能障害があり、長年の閉じこもりや同じ姿勢でずっと座っている事で、筋力低下や両足の拘縮が進んできておられ、
また、左手は麻痺があり、右手は少しであれば動かすことができる状態でした。
床から立ち上がることが困難なため、自宅内は這って何とか移動されていますが、立ち上がる際には介助が必要であり、日常生活の動作が徐々に困難になっておられました。
また奥様にも障がいがあり、屋内は車いす、外出時は電動いすで生活をされていますが、
家事全般は奥様が担っておられ、Aさんの立ち上がりの補助などもされており、介護の負担が大きくなっている状況でした。
そんな時に、歩行が難しい方でもどちらかの足が少しでも動かすことができればペダルを漕いで移動できる可能性があるという、足こぎ車椅子『コギー』(※)をテレビでご覧になられました。
コギーの詳細はこちら⇨ https://cogycogy.com/
「これなら自分で車椅子移動できるのでは?」
「介護保険レンタルできるならリハビリの際に試したい!」
と担当ケアマネジャー様にご相談されたことが、福祉用具を通しての支援の始まりでした。
1回目のデモはリハビリの時間に合わせて行いましたが、Aさんの足が内股に硬直している事もあり、一人では乗り降り出来ず、ペダルを漕いでも1mも進まないうちに左足がペダルから抜けてしまうなど、上手くいきませんでした。以前にも別の利用者様で3ケース、コギーのデモを行ったことがありましたが、車椅子への乗り降り、足漕ぎペダルのセッティング等、ご利用者一人での準備が難しく、結局導入には至らなかった事もあり、『コギー』は良い商品なのですが、なかなか実用が難しい商品なのかな、、、と思ってしまっておりました。
しかし、Aさんとお話しする中で、「妻には障害がある中、家事や私の介護で大変な思いをさせているので、何とか負担を軽減させたい」「簡単にあきらめたくはない」という強い想いをお聞きしました。
Aさんの想いに応えるため、乗り降りのセッティングはリハビリの先生にご協力を頂き、練習を重ねることになりました。足関節の拘縮があり、足漕ぎペダルの奥まで踵をしっかり入れ込む事が出来ず、抜けてしまうことは、靴下を履いて、足とペダルの大きさに合うリハビリシューズをご用意することでクリアできました。
最初は1、2分でバテておられましたが、練習を重ねることで、最近は自宅内の廊下を5~6往復は出来るようになっておられます。次のステップとしては、マンションの廊下でリハビリが出来るようになること。最終目標はコギーで外を散歩出来るようになりたいと考えておられます。
導入してまだ間もない為、奥様の介護負担に関しては、まだ大きな変化はありませんが、
長期的な目標として、ご自身でできることが増えて、奥様の負担軽減に繋がるようにと、前向きな気持ちで日々練習に励まれています。
福祉用具をうまく活用していく為には、ご本人の熱意やチャレンジと各専門スタッフの工夫が必要で、それにより結果が大きく変わってくるということを改めて痛感しました。
生活の状況やお身体の状態に合わせて今後もケアマネジャー様やリハビリの先生と連携し、ご本人とご家族の望む生活が送れるように、一緒に考えさせていただきたいと思います。
株式会社ウィズ 大阪西営業所 福祉用具専門相談員 福水 鉄平

住み慣れたご自宅での新しい生活
2023-01-10
住み慣れたご自宅での新しい生活
Aさんは50歳代の男性、 お父様とお二人で暮らしておられます。今年の初め、糖尿病による右下肢壊疽の為、膝下を切断されました。
義足を装着し、脳梗塞による軽度の右麻痺もありましたが、懸命のリハビリにより、手すりや杖を使用しながら歩行することが出来るようになられました。
約9か月間の長い入院生活を経て、退院されるにあたり、住環境整備のご依頼を、ケアマネジャー様を通してご相談いただきました。
住み慣れた自宅で、自分でできることはしながら今まで通りの生活がしたい、というご希望を叶えるべく、退院までの2日間で早急に環境を整える必要がありました。
Aさんは入院中の為、お父様と相談しながら、住環境を一通り確認し、「どこに手すり等が必要になるか」、「ベッドはどこに置くか」と選定を行いました。
住み慣れた自宅で、自分でできることはしながら今まで通りの生活がしたい、というご希望を叶えるべく、退院までの2日間で早急に環境を整える必要がありました。
Aさんは入院中の為、お父様と相談しながら、住環境を一通り確認し、「どこに手すり等が必要になるか」、「ベッドはどこに置くか」と選定を行いました。
まずレンタルのベッドを搬入、次に、室内を安全に移動できるよう、トイレ、浴室の手すりの取り付けの検討をしました。
手すりには工事が必要な【住宅改修】と工事が不要な【レンタル】の二通りがありますが、住宅改修での手すり取り付けは申請手続きなどもあり時間がかかるため
申請許可が出るまでの間は、早急な対応が可能なレンタルの手すりを提案させていただきました。
申請許可が出るまでの間は、早急な対応が可能なレンタルの手すりを提案させていただきました。
最後に、玄関と屋外の手すりの検討をしました。週3回人工透析に通われるAさんにとって、日常的な外出は欠かせないものですが、玄関から道路までの移動には、
玄関を出るまでに2段、玄関を出てからも更に5段の段差があり、その間に門扉もあるため、 どの手すりをどのように設置するか・・・
あれこれと思案し、たくさんある商品の中から選りすぐった手すりを設置させて頂きました。

挑戦を続ける永遠のダンサー
2022-12-01
挑戦を続ける永遠のダンサー
Aさんは89歳の男性。
6年前に奥様を見送られてからは、ご自身のご病気と付き合いながら、自分のペースで自立した一人暮らしをされてきました。
高血圧症、前縦靭帯骨化症、変形性頚椎症、頸動脈硬化症、変形性膝関節症、陳旧性心筋梗塞等多くの疾患があり、病院に通い、注射や投薬治療を受けてこられました。
平成29年7月、呂律が回らなくなり、手足に力が入らず歩行困難になり入院。硬膜下血種の診断で、手術を受けられました。退院後、要支援1の介護認定を受け、軽い麻痺や筋力、持久力の低下、手指のしびれ、膝の痛みなどに対し、治療とデイケアでのリハビリを継続することになりました。退院当初は、娘様と息子様が協力して自宅を訪問し、生活を支援されました。
Aさんは、健康を取り戻すためには、家にこもっていてはいけない、毎日を楽しみたいと、地域のサークルで散歩や交流に参加されるようになりました。集まりの場ではこだわりのコーヒーを立てるのがAさんの役割になっておられました。デイケアの運動はしんどい、でも交流を楽しみながら運動を続けることができ、カチカチだった身体が徐々に柔らかくなり、肩こりや腰膝の痛みも改善していきました。
平成30年4月、「若い時にやっていた社交ダンスにまたチャレンジしたいと思ってんねん」とにこやかに言われ、その頼もしい意欲に驚かされ、実行できるかなと心配もありました。Aさんは、そんな心配をよそに着々と計画を遂行され、ご自身で社交ダンススクールを探し、見学に回られ、そして半年後、「社交ダンスの初心者コースに通い始めた!どこまでできるかわからんけど頑張るで」と意気揚々とした表情を浮かべておられました。しかしコロナウィルス感染の拡大により、スクールは令和2年3月に休止。悶々とされながらデイケアで体力向上に努めておられました。
令和3年9月ようやくダンススクールが再開、しかしAさんは集団でのレッスンに物足りなさを感じられ、12月からはマンツーマンでのハードな指導を受けられるところに変わられます。
令和4年6月「ダンスの発表会に出ると決めたので見に来てや!」とお誘い頂きました。
1曲踊るのにどれだけのステップなどを覚えて、どれほど体力を要するのか、想像もできませんでしたが、Aさんは「出場者の中で最年長と言われた。なおさら頑張らんな。」と練習に励まれました。
令和4年10月、いよいよ発表会、素敵なタキシード姿で登場、素晴らしい姿勢と
ステップで見事にワルツを踊りきられました。ダンスの最中は緊張もあり、少々硬い
表情でしたが、踊りきった時の笑顔はとても晴れ晴れと素晴らしく、感動の声援と、
大きな拍手に包まれました。娘様も直前に招待を受け、知らない内に一人で頑張って
こられたことに驚かれていました。
ステップで見事にワルツを踊りきられました。ダンスの最中は緊張もあり、少々硬い
表情でしたが、踊りきった時の笑顔はとても晴れ晴れと素晴らしく、感動の声援と、
大きな拍手に包まれました。娘様も直前に招待を受け、知らない内に一人で頑張って
こられたことに驚かれていました。
ここまでの道のりは決して容易なことではなく、何度も体調を崩され、もどかしい思いを乗り越えてこられてのことです。
Aさんは、どんどん若返っておられ、姿勢も体格も変わり、さらにダンスに磨きをかけていきたいと意欲を燃やされています。
「若い頃はただステップを覚えて踊っていたが、今はどうしたら楽に踊れるか、体幹を鍛え、力を分散して踊ることを学んでいる。どこまで積み重ねられるか、年齢は関係ない。人に見てもらうには自分が楽しんでないといけない。見てくれるみんなにも喜んでもらいたい。」と話されます。
これからも、無限の可能性に向かって突っ走るAさんを応援させていただきます。
株式会社 ウィズショールーム 介護支援専門員 記虎加代子

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