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ウィズ便り




介護現場の体験談を中心に、福祉用具についてのご紹介、介護保険等に関する情報を定期的に発信させて頂きます。
弊社とお客様のコミュニケーションの一助となれば幸いです。

心温まるストーリー★介護の現場から~介護すること、されること~★

2022年国際福祉機器展 出展しました

2022-11-01

移動のためだけじゃない移動用リフト

2022-10-01
出かけたいという思いを大切に
Iさん、Iさんのお母様とのお付き合いは、ヘルパー様より「ご自宅に訪問して車いすの修理出来るかな?」
というご相談を頂いたのが始まりでした。

Iさんは30代男性で、ご家族と3人暮らしでした。先天性代謝疾患の難病で障がい者手帳をお持ちで、自力での移動は困難な為、車いす介助で移動、車いすに移るのはご家族、ヘルパー様の全介助で行っておられました。お会いした時、しっかりとした体格をされているIさんに対し、お母様は小柄で華奢であるため、お母様の介助動作の負担は大きいだろうと感じました。

 その後、福祉用具について色々なご質問やご相談をいただく中で、お母様より、天井走行式リフトの設置についてご相談がありました。介助負担の軽減、そしてIさんが少しでも快適に生活できるようにというお母様の思いをお聞きし、実現に向けて、メーカー様と検討させていただいたのですが、課題は多く、マンションにお住まいで構造躯体には一切触れることはできない為、天井に設置するリフト案は諦めざるを得ないこととなりました。(※躯体とは建物を支える基礎や柱や梁等の総称)
 

ンンン             ※1 床走行式リフト イメージ
しかし、
「家中は無理でも、ベッドと車いすで過ごすだけでなく、
  フロアでゴロゴロする時間も作りたい。」

こんな思いを実現すべく、まず、床面を自由に動かして移乗又は移動させることができる、キャスター付の床走行型のリフト(※1)を試したところ、
フロアへ降りることが出来ました。


でも、やはり床からの吊り上げに四苦八苦してしまいました。また、居室間の敷居移動が、わずかの段差でもとても操作し辛く、快適とは言い難い結果となりました。

                  ※門型リフト イメージ
次に、門型リフト(※2)を試してみたところ、
床からの昇降もスムーズで車いすへの乗り移りも問題なく行えました。

ただ、車いすから隣の部屋にあるベッドへの乗り移りが、リフトでは出来ませんでした。
他に何か良いリフトはないかとお母様やIさんと試行錯誤しながら、
空間を自由に動けるやぐら型リフトなら上手くいくのでは、と

『アーチパートナー隅っ子』(※3)というやぐら型リフトをご提案させていただきました。

やぐら型リフトであれば床でゴロゴロ、車いすへもベッドへも乗り移れる!
ということでお母様、Iさんの思いが実現できるリフトの導入となりました。

         まるでモデルルームのように 快適な空間になったご自宅
設置に関しては5m越えのレールは階段を通れなかった為、
マンション管理人様にもご協力頂き、職人さんにもご苦労をかけながらロープ吊りにて
ベランダから搬入させていただき、なんとか無事に完了しました。

 ご家族と一緒にいろいろと悩みながらも、周囲の方々のご協力もいただき、
試行錯誤を積み重ね、障がいの制度も利用して、お母様の息子様への思いが実現しました。

現在は、リフト導入により、お母様の介護負担は軽減され、ご家族でリラックスしくつろげる時間もでき、楽しい時間を過ごされているようです。

 Iさんの成長や家族生活の変化に伴い、ご家族みんなで支えあい、助け合い、
今後もIさんの望む生活が継続できるよう、引き続きご支援させていただきたいと思います。


株式会社ウィズ 大阪西営業所 福祉用具専門相談員 松田直之


            ※3 アーチパートナー隅っこ イメージ

出かけたいという思いを大切に ~そっと、ちゃんと見守る、ご家族と共に~

2022-09-01
出かけたいという思いを大切に ~そっと、ちゃんと見守る、ご家族と共に~
 いつお会いしてもニコニコ笑顔なYさんに初めてお目にかかった時は、とても丁寧にお声掛け頂き、まるで祖父母の家に遊びに行った時のような温かさや安心感に包まれたことを覚えています。Yさんはご主人と長年住み慣れた地域で過ごされ、お互いがお互いを気にかけられる素敵なご夫婦で、また周りの方への気遣いも素晴らしいお人柄でした。

 ケアマネジャーから最初にご相談いただいたのは、Yさんがご自宅に帰って来られず、見つからない、そんな不安な日々が起こり始めた時のことでした。最寄りのコンビニに日用品を買いに出られたYさん。ご家族はいつもの時間に帰ってこない為心配になり、迎えに行くと、コンビニ近くで違う方向に歩くYさんを見つけました。道がわからなくなり少し動転してしまい、帰れなくなったとの事でしたが、その後もふらっとお声掛けなく外出されることが増えました。

 当初は一時的なものだと思い、行く先も決まっていたので、外出されるタイミングが把握できれば安心できるとのことでした。ご要望に沿って、玄関ドアの開閉時に通知が鳴る徘徊感知器をご提案、設置させて頂きました。徘徊感知器のご利用により、出て行こうとされる時にご主人が気付くことができ、お声掛けをしてなだめたり、Yさんが出かける目的を主張される時は、そのまま見送られたり等の対応ができるようになりました。

また、ご帰宅が遅い時はお迎えにいかれました。

Yさんの行動が落ち着かれ、ご主人もYさんの行動が把握できてきた矢先、いつもの行動範囲とはかけ離れた遠い場所に行ってしまわれることが起こりました。ご家族も気にはかけておられましたが、四六時中、緊張感を持って対応されることによるお疲れも積み重なっておられました。再度、ご家族を含め担当者会議を行い、Yさんが住み慣れた環境で、買い物に出かける役割を果たしたいというご自身の思いや活動性を尊重しながら、安全に過ごすことができる環境整備を作り上げていくことになりました。
導入を検討した機器は、設定した距離よりYさんが遠くへ移動すると、家族に通知が届き、ご自身の位置情報を家族が検索できる「お散歩コール(テクノスジャパン)」という商品です。

この商品の導入により、Yさんは今まで通り、馴染みのスーパーやコンビニに出かけることを楽しまれ、また必要に応じて、ご家族がYさんの位置情報を検索することで、想定外の行動にも迅速に対応できるようになりました。
悪天候の中、Yさんの所在がわからなくなった際には、遠方にお住まいのご家族が位置情報を確認し、現地にいるご主人に伝え合いながら、ご家族同士で対応され、ことなきを得たそうです。天候も崩れ、日も暮れ始めて不安が募る中、福祉用具を活用し、Yさんが無事帰宅できたことについて感謝いただき、私自身もご家族のお言葉に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
しばらくし、Yさんはご夫婦がより安心できる環境へ生活環境を変えられていくことになり、商品の役目も終えることになりました。

しかし、Yさんの行動の段階にあわせて福祉用具を活用することで、Yさんご自身が望む在宅生活を、ご家族と共に支援できたことは、私たち福祉用具専門相談員にとっても喜びとなりました。
いつもご自宅に伺うと、私たちへの応対が優先で、ご自身の席がなくなっても気にせずおもてなしして下さったこと、そのお心遣いと笑顔が今でも心に残っています。
 


株式会社 ウィズ 東大阪センター 福祉用具専門相談員 則定学

いつまでも自分らしさにこだわって暮らしたい!

2022-08-01
いつまでも自分らしさにこだわって暮らしたい!

Aさんは94歳の女性、長年一人暮らしをエンジョイされ、今も自分の思うままの生活スタイルを続けておられます。


しかし、これまでに転倒による左橈骨遠位端骨折(整復後ギプス固定)、左大太骨転子部骨折(骨接合術)第12胸椎圧迫骨折(保存療法)と高齢者の4大骨折のうちの3つの骨折を体験。その都度、元の生活に戻ることを目指して努力してこられました。


 2回目、83歳の時の骨折では、退院時、リハビリの先生から、歩行器はずっと手放せないことになると言われ、リハビリのためディケアに通うことを勧められましたが、Aさんは拒否。
名取になられた日本舞踊を続ければ歩けるようになると主張。
日本舞踊はバランスが大事、軸の通った動き、滑らかに弧を描く動作を必要としているので必ず良くなると、一人で練習に励まれました。

その結果、屋外歩行も可能になり、ご自身で着付けやお化粧をされ、デイケアの利用はされず、ゲストとしてデイケアで舞を披露するまで回復されました。

 現在は、日常生活では毎日歩いて15分くらいの所にある喫茶店に行き、顔なじみの方と一緒に食事や話をすることを大切にされています。
近くの公園を散歩したり、好きな書物を買いに行かれたりと、ご自身のペースで外出を楽しんでおられます。
歩行は不安定なため、リハビリの先生から歩行器を使用するように指導されましたが、Aさんは歩行器を押して歩きたくないと主張。それもAさんのライフスタイルであると家族様も納得され、歩行器は使わずに、とてもおしゃれな杖で歩かれています。おしゃれな杖でしっかりと歩いているところを見てもらいたいというAさんの思いを大切にしながら、転倒防止の為に、訪問リハビリによる歩行能力の維持を図り、Aさんにもご自身の責任において、ゆっくりと慎重に歩くように意識をしていただいています。

 日常生活の動作も、多くの自助具や福祉用具を上手く使いこなし、ペットボトルや瓶の蓋も他人の力を借りることなくご自身で開けることができておられます。
また、お風呂好きで昔から毎日湯船につからないと気が済まない性格のため、その望みが叶うように、浴室には手すりやシャワー椅子を設置し、今でも毎日一人で入浴を楽しんでおられます。

 自宅環境では、Aさんこだわりの彫刻が施されたお姫様仕様の木製ベッドを利用。ベッド上での動作がしにくくなってきても電動ベッドを拒否、大切なベッドを使い続けるため、ベッドサイドに据え置き式の手すりを設置し、動作練習をされました。今もお気に入りのベッドで心地よく眠ることができています。

Aさんから学ばせていただいたことは、個々のライフスタイルや生活のこだわりを尊重しながら、併せて安全も考慮した環境整備をしていくことが、意欲的に自分らしく生活するためには不可欠だということです。自分らしく満足できる生活を送るためには、その人のこだわりを大切にした支援をすることがとても重要であることに気づかされました。
 

リスク(Risk)は、損失の機会(Chance of Loss)ともいい、その語源は「行動することによって(あるいは行動しないことによって)危険に遭う可能性や損害を被る可能性を意味する概念」です。それはある意味、チャレンジすることを推奨する概念とも言えます。高齢者が自立を目指されるには、時に可能性の追求やチャレンジも必要です。そしてその為に、専門家によるリスクマネジメントの視点、住環境整備や福祉用具活用等が必要となります。


株式会社 ウィズショールーム 介護支援専門員 海原義公

Aさん奮闘記 〜⻘春は永遠〜

2022-07-04
Aさん奮闘記 〜⻘春は永遠〜
 Aさんは90歳⼥性。
お孫さんが社会⼈になられ、娘さんの⼦育てが⼀段落されたのを転機に、バリアフリー のマンションを借りて、娘さんと⼆⼈暮らしを始められました。  Aさんはたくさんの疾患を抱えながらも、明るく暮らされています。
変形性腰椎症、⾻粗鬆症、圧迫⾻折を繰 り返し、背⾻は丸く変形。狭⼼症や腹壁ヘルニア、胆嚢炎、顎関節症など、⼿術もたくさん経験されてきました。 横になるのも起き上がるのも、電動ベッドと娘さんの助けが必要、⾃宅内の移動にも歩⾏器が必要です。また、 背中が丸まっている為、楽な姿勢をとるにも⼯夫が必要です。様々なクッションを活⽤したり、⾷事の際には、 ⾼さ調整のできるテーブルを設置するなど、快適な姿勢を保つ為に、福祉⽤具等を導⼊して、⽣活の中で⼯夫を 凝らして過ごされています。
常に前向きに、⾃分のできることを増やし、⽣活向上を⽬指してこられました。⼈ との交流が⼤好きで、ディサービスでも⾊々なアイディアを発信、ディサービスを改善していく⼀役を担ってお られます。  ⽣活環境でも、マンションから⼀軒家に引っ越すという計画を進めていかれます。10年以上住んでいても、 マンションでは近隣との交流が全くなく、⾼齢になり地域の⼈と交流しながら、助け合って暮らしていきたいと いう思いが⽇に⽇に膨らみ、娘さんと物件を探し、古い連⼾の2階建て住宅を⾒つけて引っ越しを決断されます。 しかし、バリアフリーのマンションとは違い、道路から⽞関までに段差、上がり框も段差、トイレ⼊⼝にも段差、 階段は急な⼀直線。福祉⽤具事業所も転居先を訪問し、電動ベッドの移動、⼿すりの設置、歩⾏器の再選定等、 慌ただしい中、迅速に対応していただきました。
さらに、娘さんがDIYで冬の寒さをしのぐ⼯夫をされたり、 かわいいカーテンをつけたり等々、古家を暮らしやすくプチリメイクされました。  娘さんは太極拳や太極柔⼒球、書道、茶道等プロ級の腕前で、施設等でスクール を開催、ボランティア活動をされています。
年前、そんな娘さんが、お⺟さんと ⼀緒に⽬標を持って取り組めて、体にも良いことはないかと探され、「腰かけタッ プダンス」という、座ってできるダンスに出会われました。
早速、近くにダンスス クールも⾒つけ、2⼈で通い始められました。1つの曲を、数10名で1年かけて練習 し発表会を⽬指されます。
その中で最年⻑のAさんは、誰よりも練習を重ね、⾒事 なダンスを披露されました。達成感が⾃信になり、毎年新しい曲にチャレンジされ ています。 

この年齢で環境が変わることに対するケアマネジャーの⼼配をよそに、Aさんは ご近所の⽅との交流を楽しみ、地域の様々な資源や活動を⾒つけ、毎⽇新しい発⾒ があると⽣き⽣きされています。最近は、⼤好きなネコちゃんが家族に仲間⼊り、 さらに刺激のある⽣活を楽しまれています。Aさんは、どんな暮らしがしたいかと いうことを、1つ1つ実現していかれます。マンションの⽅が安全では、といった私 の固定観念を崩し、⼀番⼤切なことは何かを教えて下さいます。これからも、⾃分 たちの望む⽣き⽅を進んでいかれるAさん、娘さんを応援させていただけることが とても楽しみです。
 
株式会社ウィズショールーム 介護⽀援専⾨員 記⻁加代⼦
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