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修理屋スグルと沈黙のFIVE LIARS.11  最終章  真相編③

2022-09-12
【現在  南支店】

一体なにがどうなっているというのだ…課長と主任は何の話をしていたのだ??
意味がわからない

そして主任が持ち帰ったハンドルぐらつきの車いすもどうにかしなければならない
AVEC社 南支店は現在大混乱だ

「まぁ別に同機種交換すればいいだけじゃないか?」
「おいスグル……交換できる車いすを手配してやれ!!」
課長が言う

オレは課長の指示通り同機種交換の車いすを手配しようとする
オレはウィズ社の東大阪センターに電話する

「お世話になっております……実は大至急用意して頂きたい車いすがあるのですが……」

「………………………」

「そうですか……分かりました……失礼致します………」
オレは同機種交換依頼の電話を切った……そして課長に結果を報告する

「課長だめでした…残念です…この車いすは、現在欠品中で在庫が用意できないそうです!!…」

やられたっっ!!……クソッッ!!……
犯人は今回はあえて在庫の無い車いすに細工をしたのだ
なんて用意周到で頭の切れるヤツなんだ…

オレは主任が持ち帰って来た故障した車いすを見る
そして車いすのハンドルを触る
(写真)車いすハンドル/左右にグラつきがある
「こ……これは………」
主任の指摘通りに、ハンドルが左右にグラついている…!!!!

車いすのハンドルは、車いすを押す際に介助者が持つ場所だ…
「なんてことだ……こんなにグラついていては安全に車いすを操作することができないぞ」
オレの心の中で悲鳴に似た絶叫がこだまする

そしてこの車いすにも見覚えがあるぞ…!!
オレが南支店に潜入する前に、東大阪センターでメンテナンスした車いすだ…!!
間違いなくハンドルにグラつきなど無かったはずだ…!!
ここでオレの中に犯人に対する怒りが込み上げてきた…
「よくもこんな細工をしたな……一体メンテナンスのことを何だと思っているのだ……」
「使用される一人一人の利用者の安全を願って、修理屋が命をかけてメンテナンスをしているんだ!!……その思いを冒涜するなど許されることではないぞ!!」
「許さん……許さんぞ……」
「この不良品の車いすを使った利用者様がケガをしたら、どう責任を取るつもりだ!!!!」
「利用者様のことをなんだと思っているんだーー!!!!!!」

オレの怒りは頂点に達した!!
もう勘弁することは出来ない

オレは自分のカバンの中から工具を取り出す
こんなこともあろうかと、いつも自分のカバンに工具を携帯していたのだ

「ちょ…ちょっと…君は何をしようとしているんだね?」
工具を持ち、車いすに向かうオレに課長が問いかけた

「安心してください。この車いすはオレが修理します!!」
オレは課長の質問に答えた

「黙っていて申し訳ございませんでした!!…オレはこの事件を解決するために南支店に潜入していました!!」
「オレはレンタル事務ではない」
「オレの本当の正体は修理屋スグルだ」

周りの人間は言葉に困っている…全員あっけに取られているのだ
まぁそんなことは関係なしだ!オレはこの車いすを修理する!!
メンテナンスと利用者様を冒涜した罪は重い!!!!
犯人の陰謀は今ここでオレが断ち切ってやる!!!!オレはそう決めたのだ!!!!

オレは改めて故障した車いすと対峙する
もう一度オレは車いすのハンドルを握る
やはり左右にグラグラに揺れてしまう……
ハンドルを固定しているネジ
そう考えていると……ある部品がオレの視界に入った
「ネジだ‥…ネジがあるぞ!!!!」
オレはハンドルのパーツ付近に複数のネジがある事に気が付いた!!!!

「よしっ……全て締め付けてやる!!!!」
ネジはパーツがグラつかないように、固定する為に使われている場合が多い
オレはプラスドライバーを手に取る
そしてハンドル付近のネジを全て締め付けた
グリッグリッグリッグリッ…グリッグリッグリッグリッ
オレは苦労の末、ハンドル付近のネジを全て締め付けた
「オレの勘が正しければこれで修理完了のはずだ……」
オレは車いすのハンドルをもう一度握ってみる…
………………………………
「だ…だめだ…これではダメだ………」
オレは結果に落胆した…確かにグラつきは多少マシになった…

しかしわずかにまだグラついている……
これでは利用者様が安全に車いすを操作することは不可能だ!!!!

オレは必死に原因を考える
これでは犯人の思うツボだ……そしてこの車いすを使用される利用者様は一体どうなるというのだ…

「仕方がない……あれを使うしかない……」
この車いすだけは絶対に修理しなければならない!!
犯人はかなりのメンテナンスの腕前だ‥
しかしこんなことにメンテナンスの技術を使っていいわけがない…
この歪んだ野望はここで粉砕する必要があるのだ!!
オレは覚悟を決めた……そして………

「スグルアイ発動だ!!!!」
スグルアイの負担にオレの身体が耐えきれるかはわからない…しかそれがどうした……
オレの身が滅びたとしても、自分の使命を果たすだけだ!!!!
オレの使命はこの車いすを修理することだ
なぜならオレは修理屋スクルだからだ!!!!

オレはスグルアイを使った状態で、もう一度ハンドル部分を見る
スグルアイの効果で、シート部分かぼんやり透けていく
シートを透過して中のハンドル部分まで見ることが出来た
すると……車いすの背シートの裏側に何やらいくつかの物体が見えた……

「まさか……これは………」
オレは興奮しながらも冷静に、背シートとハンドルを固定しているネジを外した
そして背シートをズラしてハンドル部分をむき出し
にする
すると……驚くべき光景がオレの目に広がった!!
背シート裏側のネジ
「こ…これはネジだ……こんな所にもネジが隠れていたのか?…」
なんと背シートで隠れている部分にも、締めるべきネジが2本存在したのだ…!!

………………………………
このネジを締めればおそらく事件解決だ
オレは急いでドライバーを握ろうとする……

すると……オレは背シートの裏側にネジ以外の物体があることに気が付いた‥
オレはその物体を手に取り眺めた
そして…その正体に気が付いた
「ま‥……まさか……これは……あの人の……」
「こ……これが…ここにあるという事は…………犯人の正体は………もしかして……」



オレは驚愕の真実に気付いてしまった
しかし今は修理を完結させる必要がある
オレはとりあえずその物体を作業着のポケットに入れる
さぁ修理再開だ
オレはドライバーを手に取り、先ほどまでは見えなかったむき出しのネジを締め付ける

「ようやく引きずり出してやったぞ…そうやって隠れて裏でコソコソ企んでいたお前の野望もこれで終わりだ!!…オレと同じ時代を生きたことを後悔するんだな…」
「メンテナンスはクレームを起こすために使うんじゃない」
「メンテナンスはこうやって、車いすを修理するために使うんだーーーー!!!!」

オレは犯人の心に届けとばかりに、魂を込めてドライバーでネジを締め付けた
ネジを締め付けた後に、もう一度車いすのハンドルを握った……
「ハンドルは全くグラつかない……完全に固定されている……これで修理完了だ!!!!‥…」
オレは犯人の野望を完全に打ち砕いた!!!!
………………………………
もう夜も遅い‥…
今日はこれで解散だ……

主任は修理した車いす明日納品すると言っていた……

………………………………
………………………………
翌朝になった…
オレは朝早くに南支店に出勤した…

まだ誰も来ていない……そりゃそうだ…‥株式会社AVEC社の始業時間は朝9時……今はまだ朝の7時だ……

オレは息を殺してある人が来るのを待つ…
「オレの推理が正しければもうすぐ犯人がここに来るはずだ」
オレは昨日 修理中に見つけた物体を握りしめながら……その時が来るのを待つ……ただひたすらに待つ…

ガチャッッッ!!!!
その時‥…誰かが部屋に入ってきた
時刻はまだ7時半だ…こんな時間に誰も出勤するはずがない
部屋に入ってくると、一目散に昨日オレが修理した車いすに向かっていった
そして車いすをひっくり返したり……下から覗いたり……何かを探しているようだ‥

「探し物はこれですね?」
オレはその人物に話しかける!!そして手に握っていた物体を見せた

「これが車いすの中にあったということは…この車いすに細工したのはあなたという事だ!!!!」
「あなたは昨日オレよりも早く出勤していた。しかし…普段そんなことは一度も無かった…」
「そして今もこれを探すために誰もいない時間に出勤したんだ…」
「犯人は間違いなくあなただ」
「教えて下さい……どうしてあなたがこんな事件を起こしたんですか?…」

オレは犯人に問いかけた…!!
「昨日これを身につけていなかったのは、車いすに細工をしている最中に落としてしまったからですね?‥…そうですね‥…?」

オレは自分の手に握っていたイヤリングを犯人に渡した…

………………………………
しばらく沈黙が続いた‥…

………………………………
そして……………………

………………………………
やがて彼女はゆっくり話し始めた…
………………………………

続く
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