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ウィズ便り




介護現場の体験談を中心に、福祉用具についてのご紹介、介護保険等に関する情報を定期的に発信させて頂きます。
弊社とお客様のコミュニケーションの一助となれば幸いです。

心温まるストーリー★介護の現場から~介護すること、されること~★

⑥家族に支えられて、研究を継続

2021-03-01
⑥家族に支えられて、研究を継続
 ご夫婦二人暮らしのAさんは、今年91歳。
退職後、民生委員や保護司などをしながら地域で活躍され、その中でも一番力を入れておられたのが地域郷土史の研究でした。
郷土研究会の名誉会長として市民講座の講義をされるなど、忙しくも意欲的な日々を送られていました。

 そのAさんが脳梗塞で倒れました。幸い発見も早く手足の麻痺もありません。
退院し元の生活に戻りましたが、その後に感じたのが目の異変でした。
検査を受けると、脳梗塞の後遺症で視野が狭くなり、視力も低下していることが分かりました。
研究資料が読みにくくなり、原稿も思うように書けなくなりました。
持病の腰痛も悪化し、気力も体力も落ちたようです。

 落ち込んでいるAさんのために、奥様はご自分も足に不安があるにもかかわらず、
一緒に歩こうと外へ誘い運動の機会を作りました。

 そして、隣市に住む娘様が市役所で「拡大読書器」という器械があることを知り
「使わせてあげたい」と私に連絡を下さいました。
「拡大読書器」はテレビ画面に文字等を大きく、鮮明に映し出すことが出来る補助具です。
視覚障がいの方の日常生活用具にも認定されており補助金が給付されます。
弊社の福祉用具専門相談員が訪問し、数社の器械を試してもらいました。
娘婿様も設置場所や読書姿勢のことなどいろいろ意見を出して下さいました。
障がい者手帳の申請も決断され、補助金で購入することが出来ました。

 Aさんは訪問する度に「これは便利な器械や。みんなのおかげ」と笑顔で話して下さいます。
残念ながら、現在のコロナ禍で市民講座などは開催されず講師活動も中断となっています。
しかし、社会が落ち着いたらまた講義もできるようになると妻と一緒に体を鍛え、
お気に入りの拡大読書器で調べものをし家族に見守られながら、今も研究を続けておられます。

 実はAさんの郷土史講座は私も生まれた地域です。
Aさんの講座が再開され、いつか私も受講出来る日が来ることを楽しみにしています。

 

株式会社ウィズ 吹田営業所 介護支援専門員 橋本裕之

⑤介護を楽にすることで広がる生活の質

2021-02-05
⑤介護を楽にすることで広がる生活の質

Aさん(88歳/男性)は、長年趣味の山登りを続けるなど健脚を自慢にしておられ、

ひとり暮らしでしたが、家事もそつなくこなしておられました。


そんなAさんも、病気を発症し入院加療を余儀なくされました。

退院後は、また山に登りたいと考えておられましたが、

長期入院の影響で歩行能力や体力が落ちていたため、

ご本人の希望で通所リハビリテーションを利用して、歩行能力の向上に努められました。


その後、少し時間はかかりましたが、友人と一緒にまた山登りが再開できるようになりました。


ご自身の望む生活を介護保険の活用により取り戻されましたが、

数年後に病気が再発し難病であることが判明しました。

主治医からは、病状の改善は難しく徐々に悪化していき、

身体の状態もそれとともに低下していくと説明がありました。


退院後、自宅内は何とか伝って歩かれますが、

屋外歩行は困難となり、車いすでの外出となりました。 

退院後ひとりで暮らすのは困難とのことから、

次女様が同居して介護をすることになり、

次女様は、これまでの父の元気な姿と現状との違いに胸を痛められ、

何とか以前のような生活を取り戻し、元気になるようにしてあげたいと考えられました。


そこで外出が好きだった父親を車いす介助で毎日散歩や買い物等に出かけるようにされ、

ご本人もそれをとても喜んでおられました。


ところが、次女様も暫くしてから介護疲れからか足腰に痛みが出て、

これまでのように車いす介助で外出することが困難となり、

自宅で引きこもった生活になってしまいました。

次女様は、自分が介護を十分できなくなったせいで、

父親が好きな外出や買い物ができなくなってしまったことに悩んでおられましたが、

福祉用具専門相談員から介助者用の電動アシスト機能付き車いすの提案があり、試すことになりました。

メーカーカタログより引用
メーカーカタログより引用

自宅から道路までは長いスロープがあり、その昇降が大変だったことが

車いす介助での外出を阻んでいましたが、アシスト機能を使用すると

スロープの昇降がとても楽にできると驚いておられました。


体験後早々に利用したいとのことで、以前の車いすから

アシスト機能付きの車いすへと機種を変更し、

その後はこれまで続けておられた車いす介助での朝夕の散歩も再開され、

遠く離れた商店街へも買い物にも出かけ、ご本人が慣れ親しんだ人と話しをしたり、

自分の好きな物を選んで買うことが再びできることになり、

以前のような意欲的な生活を取り戻されました。


次女様は、

「車いす介助が楽にできるようになったので、

以前のように父親を色々な所に連れて行ってあげることができるようになった。

父親も自分が行きたい店に行って自分で好きなものを選んで買う楽しみができた

ととても喜んでいる。そんな父親を見ることで自分もとてもうれしい。」

と話してくれました。

 

「介助者が楽に介助できる」ということは、

介護の負担から利用者が介護者に遠慮してしまうという事が減り、

介護者も利用者のために十分なことをしてあげたいという思いが叶うことになり、

その結果、利用者の自立や生活の質の向上につながるということを

改めて学ぶことができました。

 

④夫婦二人三脚

2021-01-05
④夫婦二人三脚
Aさん(71歳)は外出先で転倒されてから腰に強い痛みが出て歩けなくなられました。
通院も出来なく困っていると奥様から相談があり、ケアマネジャーとして担当させて頂く事になりました。

 初めてご本人にお会いした時は、腰の痛みや左側の手足の痺れで力が入らず、
歩行も出来ず転倒を繰り返されており、起き上がりや立ち上がりは奥様の介助が必要な状態でした。

早急に受診が必要な為、すぐに福祉用具担当者と伺い、
その日のうちに車いすを選定、自宅に届けさせて頂きました。
室内移動には、痺れのない右手で使用でき、段差を越えやすい松葉杖を選ばれました。
また電動ベッドを導入し、ご自身でリモコン操作をする事で、
痛みを加減しながら起き上がれるようになり、奥様の介護負担の軽減につながりました。

 検査の結果で骨折は認められず、主治医からリハビリを勧められました。
ご本人も早く歩けるようになりたいという強いお気持ちを持たれ、
直ぐに通所でのリハビリ開始となりました。
運動を続ける事で筋力アップし、痛みも軽減してくる事を実感。
 
 今では通所リハビリ以上の運動を、ご自宅でも自主的にされるようになりました。
車いすから松葉杖、ロフストランドクラッチと歩行レベルがどんどん上がっていきました。

 今は通所リハビリを卒業し、ご自身で運動内容を考えておられます。
2リットルのペットボトル2本をリュックに入れ、
500gのダンベルを片手に持ちながら歩く等、着実にレベルアップされています。
雨の日や真夏の暑い日、2月の寒い日も1日も欠かさず朝夕運動を続けておられます。
気持ちに余裕と自信が感じられ、同じ時間帯にすれ違っていた人と声を掛け合うようになる程、前向きな性格に。

奥様は物静かだったご主人が明るく社交的になられたと驚き、喜ばれています。
担当させて頂いてから毎月訪問させて頂く度にご状態に変化が見られ、今では杖歩行で外出を楽しまれています。
 
 目標を持って努力をすると成果は必ず現れるという事を目の当たりにし、
お話を聞く度に自分の事のように嬉しい気持ちになりました。
今の目標は奥様と同じ速度で歩けるようになりたいと仰っておられます。
 
 これからも人生の先輩方の姿を見て勉強させて頂きたいと思います。
 
 

③夫を亡くした悲しみ乗り越え、生きがいをみつけた利用者様

2020-12-07
③夫を亡くした悲しみ乗り越え、生きがいをみつけた利用者様
昨年40年間連れ添ったご主人さんを亡くされたAさん
結婚当初から、ご夫婦で仕立て屋さんを営み、地域で仕立てが上手だと評判のいいお店でした。ご夫婦の仲が良く海外旅行に一緒に出掛けるたり幸せな生活を送られていましたが、昨年、病気ひとつしなかったご主人が突然倒れ入院、闘病生活へ。病気のため仕事ができなくなり、残念ながらお店を休業することに。その後、病状が悪化するも入院を拒否したため、在宅介護へ移行。介護サービスを利用しながらも、Aさんの献身的な介護の末、ご主人さんは天国に旅ただれました。
Aさんは、夫を亡くした喪失感、自責の念と悲しみに暮れる日々、体調がすぐれず介護サービスの支援を受けることに。ヘルパーさん、理学療法士、ケアマネジャーの支援者の励ましにより、徐々に気持ちが落ち着き、友人とのお付き合いができるまでになりました。ところが、今年に入り、世の中がコロナ禍となり家に閉じこもる日々となり、気分の落ち込みがみられるように…心配した娘さんからの一言がFさんの生きがいを見出すことになります。
「お母さん、家には素敵な生地がたくさんあるから、マスクを縫ってみてはどう?マスクが買えない時だから、お世話になった方へプレゼントしたら喜ばれるはずよ」だったのです。娘さんからの一言で大きな光を見出したそうです。
ご主人さんと一緒に選び仕入れた高級な生地を引っ張り出し、マスク作りが始まります。
そこから才能発揮!縫製がきれいで柄も素敵、斬新なデザインやかわいいキャラクターまで芸術のようです。子供用、婦人用、紳士用とサイズも選べる。作品ができるとKさんは、お世話になった方へプレゼント。たちまち「マスク作りの名人」だと地域でも評判となり、遠方からのお客様が買いに来られるようになりました。
また、娘さんの提案でネット販売を始め、マスクの注文が殺到し、忙しい日々を迎えることとなっています。
Kさんから「大好きだった夫に、お店を再開したよと胸を張って誇ることができるわ。これからも細々と仕立て屋を続けるつもりです」と笑顔いっぱいのFさんに、私たち支援者が励まされています。
 
ウィズ便り 12月号

②電動車いすを利用してなりたい自分へ

2020-11-10
②電動車いすを利用してなりたい自分へ
「できるだけ人には頼らず自分で頑張らないといけない、昔からそう教わってきたので。」と気持ちを奮い立たせるようにTさんはいつも話してくれます。
 Tさんは生まれた時から両下肢に麻痺があり、立位も歩行もできません。子供の頃は訓練施設に入所し、その時に「あなたはどこも悪い所はない。他の人と違うのは歩けない事だけだから。」
と自立する生き方を教え込まれてきたとおっしゃいます。
 60歳の頃に胸椎後縦靭帯骨化症を発症、手術するも両下肢の痺れや脱力の改善はなく、コルセットを装着しなければ座位姿勢も安定しなくなりました。室内は両腕の力で臀部を滑らして移動、屋外は以前給付で出してもらった自走用車いすを利用されていました。
 通院はヘルパーサービスを利用し、それ以外は殆どご自身で頑張っておられましたが、年齢を重ねる内に筋力や体力も低下し、腰や腕に痛みが出現、一人での外出ができなくなってきました。
元々、好奇心旺盛でアクテイブなTさんなので、だんだんと表情も暗くなってこられたのが、少し気がかりとなりました。
 そこで、Tさんの「これからも自分の力で色々な所へ出かけ、気分転換して楽しみたい!」という思いを実現させたい、さらに両腕の力を維持したいと考え、電動車いすの利用を試してみる
事になりました。福祉用具担当者が写真での手順説明や、自宅である市営住宅の階段から車いすへの乗り移り、近くのスーパーの中まで練習に付き添いました。頑張り屋のTさんは毎日のように練習し、一人でも出かけられるようになりました。少しずつ距離を延ばし、人が多い商店街や近隣区、ずっと行きたかった百貨店の喫茶店にもとうとう行けるように。その話をしてくれたTさんの笑顔がとても素敵で、生き生きとされていたのが印象に残っています。人それぞれ病気や身体の動き、住環境、家族状況が違い、必要な物や求めている事も違います。皆それぞれが違うからこそ、その人の思いや望むくらしを聞きながらサポートをするのが私達の仕事だと思います。
 電動車いすとの出会いがTさんの暮らしを生き生きと、楽しいものに変える事ができたのだと、改めてTさんから学ばせて頂きました。
(掲載を快諾して下さいましたTさんに感謝致します。)
 
ウィズ便り 11月号
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