心温まるストーリー★介護の現場から~介護すること、されること~★
⑥家族に支えられて、研究を継続
そのAさんが脳梗塞で倒れました。幸い発見も早く手足の麻痺もありません。
落ち込んでいるAさんのために、奥様はご自分も足に不安があるにもかかわらず、
実はAさんの郷土史講座は私も生まれた地域です。
株式会社ウィズ 吹田営業所 介護支援専門員 橋本裕之

⑤介護を楽にすることで広がる生活の質
Aさん(88歳/男性)は、長年趣味の山登りを続けるなど健脚を自慢にしておられ、
ひとり暮らしでしたが、家事もそつなくこなしておられました。
そんなAさんも、病気を発症し入院加療を余儀なくされました。
退院後は、また山に登りたいと考えておられましたが、
長期入院の影響で歩行能力や体力が落ちていたため、
ご本人の希望で通所リハビリテーションを利用して、歩行能力の向上に努められました。
その後、少し時間はかかりましたが、友人と一緒にまた山登りが再開できるようになりました。
ご自身の望む生活を介護保険の活用により取り戻されましたが、
数年後に病気が再発し難病であることが判明しました。
主治医からは、病状の改善は難しく徐々に悪化していき、
身体の状態もそれとともに低下していくと説明がありました。
退院後、自宅内は何とか伝って歩かれますが、
屋外歩行は困難となり、車いすでの外出となりました。
退院後ひとりで暮らすのは困難とのことから、
次女様が同居して介護をすることになり、
次女様は、これまでの父の元気な姿と現状との違いに胸を痛められ、
何とか以前のような生活を取り戻し、元気になるようにしてあげたいと考えられました。
そこで外出が好きだった父親を車いす介助で毎日散歩や買い物等に出かけるようにされ、
ご本人もそれをとても喜んでおられました。
ところが、次女様も暫くしてから介護疲れからか足腰に痛みが出て、
これまでのように車いす介助で外出することが困難となり、
自宅で引きこもった生活になってしまいました。
次女様は、自分が介護を十分できなくなったせいで、
父親が好きな外出や買い物ができなくなってしまったことに悩んでおられましたが、
福祉用具専門相談員から介助者用の電動アシスト機能付き車いすの提案があり、試すことになりました。


自宅から道路までは長いスロープがあり、その昇降が大変だったことが
車いす介助での外出を阻んでいましたが、アシスト機能を使用すると
スロープの昇降がとても楽にできると驚いておられました。
体験後早々に利用したいとのことで、以前の車いすから
アシスト機能付きの車いすへと機種を変更し、
その後はこれまで続けておられた車いす介助での朝夕の散歩も再開され、
遠く離れた商店街へも買い物にも出かけ、ご本人が慣れ親しんだ人と話しをしたり、
自分の好きな物を選んで買うことが再びできることになり、
以前のような意欲的な生活を取り戻されました。
次女様は、
「車いす介助が楽にできるようになったので、
以前のように父親を色々な所に連れて行ってあげることができるようになった。
父親も自分が行きたい店に行って自分で好きなものを選んで買う楽しみができた
ととても喜んでいる。そんな父親を見ることで自分もとてもうれしい。」
と話してくれました。
「介助者が楽に介助できる」ということは、
介護の負担から利用者が介護者に遠慮してしまうという事が減り、
介護者も利用者のために十分なことをしてあげたいという思いが叶うことになり、
その結果、利用者の自立や生活の質の向上につながるということを
改めて学ぶことができました。

④夫婦二人三脚
初めてご本人にお会いした時は、腰の痛みや左側の手足の痺れで力が入らず、
検査の結果で骨折は認められず、主治医からリハビリを勧められました。
今は通所リハビリを卒業し、ご自身で運動内容を考えておられます。
雨の日や真夏の暑い日、2月の寒い日も1日も欠かさず朝夕運動を続けておられます。

③夫を亡くした悲しみ乗り越え、生きがいをみつけた利用者様
「お母さん、家には素敵な生地がたくさんあるから、マスクを縫ってみてはどう?マスクが買えない時だから、お世話になった方へプレゼントしたら喜ばれるはずよ」だったのです。娘さんからの一言で大きな光を見出したそうです。

②電動車いすを利用してなりたい自分へ
Tさんは生まれた時から両下肢に麻痺があり、立位も歩行もできません。子供の頃は訓練施設に入所し、その時に「あなたはどこも悪い所はない。他の人と違うのは歩けない事だけだから。」
と自立する生き方を教え込まれてきたとおっしゃいます。
60歳の頃に胸椎後縦靭帯骨化症を発症、手術するも両下肢の痺れや脱力の改善はなく、コルセットを装着しなければ座位姿勢も安定しなくなりました。室内は両腕の力で臀部を滑らして移動、屋外は以前給付で出してもらった自走用車いすを利用されていました。
通院はヘルパーサービスを利用し、それ以外は殆どご自身で頑張っておられましたが、年齢を重ねる内に筋力や体力も低下し、腰や腕に痛みが出現、一人での外出ができなくなってきました。
元々、好奇心旺盛でアクテイブなTさんなので、だんだんと表情も暗くなってこられたのが、少し気がかりとなりました。
そこで、Tさんの「これからも自分の力で色々な所へ出かけ、気分転換して楽しみたい!」という思いを実現させたい、さらに両腕の力を維持したいと考え、電動車いすの利用を試してみる
事になりました。福祉用具担当者が写真での手順説明や、自宅である市営住宅の階段から車いすへの乗り移り、近くのスーパーの中まで練習に付き添いました。頑張り屋のTさんは毎日のように練習し、一人でも出かけられるようになりました。少しずつ距離を延ばし、人が多い商店街や近隣区、ずっと行きたかった百貨店の喫茶店にもとうとう行けるように。その話をしてくれたTさんの笑顔がとても素敵で、生き生きとされていたのが印象に残っています。人それぞれ病気や身体の動き、住環境、家族状況が違い、必要な物や求めている事も違います。皆それぞれが違うからこそ、その人の思いや望むくらしを聞きながらサポートをするのが私達の仕事だと思います。
電動車いすとの出会いがTさんの暮らしを生き生きと、楽しいものに変える事ができたのだと、改めてTさんから学ばせて頂きました。
(掲載を快諾して下さいましたTさんに感謝致します。)

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