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ウィズ便り




介護現場の体験談を中心に、福祉用具についてのご紹介、介護保険等に関する情報を定期的に発信させて頂きます。
弊社とお客様のコミュニケーションの一助となれば幸いです。

心温まるストーリー★介護の現場から~介護すること、されること~★

笑顔の原動力

2023-12-01
笑顔の原動力
いつも明るくエネルギッシュなカナダ出身のTさん(52歳)。
そのバイタリティの源は何ですか?と伺うと関西弁で「やっぱ家族と仕事やで、ハハハッ」と、ばりばりの関西弁で話してくださいます。
そして豪快に笑う姿はとても魅力的で、お会いするといつもパワーを分けてもらいます。
 
 23歳の時に来日され、大阪で英会話講師と労働組合職員として働かれていました。趣味は日曜大工で、ダイニングテーブルをご自身で作られ、そのテーブルを囲みお酒を楽しまれています。現在は、労働組合で外国人の方々の労働環境を守るという使命の元、事務局長として活躍されいます。今日まで多くの人たちがTさんに勇気づけられ、日本で仕事を続けてこられた事でしょう。

 2009年38歳の時、ひどい頭痛に見舞われ、腰の激しい痛みで救急搬送されます。動静脈奇形が原因と考えられる非常に珍しい硬膜内血腫により下半身不随となります。
 「車いすは相棒ですわ。」とTさんは仰います。障がい者手帳を取得されると車いすを作成。弊社との出会いはこの時でした。
 一年間のリハビリの後、自宅での生活をするにあたり、駐車場に昇降リフトを設置されます。幸いにも一階のリビングの窓が大きかった為、玄関を通らず車いすのままご自宅に入ることができました。また、シャワー浴が一人で行えるように、シャワーキャリーを導入。最初はデイサービスで入浴をされていたそうですが、デイサービスまで行く時間が必要です。ご自宅で入浴ができれば、より多く自分の時間を作ることができます。後輪タイヤが小さい介助タイプが多い中、日本の浴室に適応できるコンパクトでありながら自走する事ができるシャワーキャリーを選定させて頂きました。
こうして福祉用具を活用することで、電動ベッドから、車いす、シャワーキャリー、便器へと、ご自身で乗り移られ、トイレや入浴等の動作も家族の介助を頼ることなく、ほぼ自立しておられます。
               株式会社ミキ お風呂用車いす MH-1
「日本の福祉制度は優れている。カナダよりきめ細かいと僕は思うよ。」と仰るTさん。

日本には福祉で利用できる制度が様々ありますが、実際に当事者にならないと知り得ない制度もたくさんあると思います。

 障がいと共に生きていくということがどれほど大変な事かTさんに伺うと「塞ぎ込む事もあったよ、辛い事もあった。でも僕には家族がいるし、職場で働く仲間もいる。」と話してくださいました。

 Tさんの言葉が多くの人たちを勇気づけ、次に進む原動力になっている事を噛み締める出会いとなりました。Tさんのように、私自身も、「バイタリティの源は仕事やで。」と言える精一杯の働きができるよう、努力していきたいと思います。

これからもどうぞよろしくお願い致します。


          株式会社ウィズショールーム 福祉用具専門相談員 柳川正樹

                    Tさんとご家族様

自立を目指して、移乗シートで出来る事

2023-11-01
自立を目指して、移乗シートで出来る事
 皆様はトランスファーシートという移乗シート(以下、トランスファーシート)をご存じでしょうか?
介護現場でご利用者のお身体の下に敷きこんで、ベッド上での位置修正や寝返りの補助等の介助が楽にできる、とても便利なアイテム(福祉用具)です。

 私たち横浜営業所で、平成19年から福祉用具をご利用頂いているFさんは、介護保険のレンタルでこのトランスファーシートをご利用されておられます。
 Fさんとは紙おむつのご相談から始まりました。Fさんは横浜で昭和12年創業の老舗の銭湯を2代目として経営されておられました。
場所は、横浜山手・本牧界隈にあり、山を隔てて隣には有名な横浜中華街があります。
ちなみに横浜本牧は、かつて米軍基地のあった街で、ジャズダンス発祥の地。アメリカンなレストランやカフェ雑貨屋が多くあります。
戦後の横浜は、米軍基地が近くにあることもあり、ディスコがあり、アメリカ人がプレーするベースボールを見物したり、東京から多くの若者が横浜本牧の地へ集まってきたそうです。
外国人の方も日本の文化を肌で感じたいと、日本の銭湯を利用したとの事で、Fさんもその影響で英語がとても堪能です。
Fさんは大学に進学を希望されていたのですが、その時期に体調を崩された初代の父から、家業である銭湯を継いでほしいと言われ、家業を継ぐ決断をされました。
今は3代目の息子様が経営を引き継がれています。

 Fさんが60才の時、大掃除中、脚立から転落し、胸椎を強打されました。
現在は外傷性脊髄損傷による両下肢の対麻痺の為、ご家族や介護サービスの支援が必要です。麻痺があるため、腰から臀部にかけての床ずれのリスクが高く、エアーマットの利用と訪問看護の病状管理は欠かせません。介護ベッドは起き上がりの為に非常に助かっているとの事。ご家族もお仕事が忙しく、独居ということもあり、見守りは欠かすことはできませんが、できることは積極的に自分でして、在宅生活を楽しみたいと何事も意欲的な方です。

これまで入退院を繰り返されていましたが、車いす生活を経て現在は在宅生活が安定されておられます。
ご家族やヘルパーさんがご本人を車いすから介護ベッドへ移乗介助する時、ベッド上で正しい寝位置へ修正する為に、トランスファーシートを活用しておられます。

まず、トランスファーシートを介護ベッドの上に置いた状態で、車いすからベッドへ乗り移り、トランスファーシートの上にご本人を移すと、あとはトランスファーシートが四方に滑るので、寝る位置を楽に調整できます。
シート自体滑る生地なので、力もいらず、ご本人の皮膚への負担を確実に減らすことができます。
最終的にご本人が両手で左右のベッド柵を握って、少し調整しながら完了。自立支援にも役に立っています。
このシートを使う前は、防水シーツ等による摩擦で皮膚にダメージを受け、介護者も力で動かそうとされるため、皮膚に負担がかかり、大変でした。
今では、ヘルパーさんも皆さん積極的にトランスファーシートを使ってくれて助かっていますと、うれしいお言葉を頂きました。

 今後は少し苦手意識があるヘルパーさんにも自信をもって使ってほしいと考え、現在事業者様向けの研修会を企画中です。

 現在介護施設では、施設職員の腰痛対策でトランスファーシートのような移乗シートを導入されるところが増えています。在宅の現場でも同様に、ご家族や介護サービスに携わる方が、このような商品を知ってもらう事で介護負担の軽減ができ、自立支援につながるよう、弊社からもっと情報を発信していきたいと思います。
     

  
                                       株式会社ウィズ 横浜営業所 福祉用具専門相談員 福井智裕

        トランスファーシートの特徴
      トランスファーシート使用方法 一例
      トランスファーシート使用方法 一例 

乗り移りしやすい車いす

2023-10-02
乗り移りしやすい車いす
 90歳のEさんはパソコンが趣味で、ネットショッピングや動画鑑賞、音楽を聴くのが好きな方です。
私がEさんに出会ったのは令和5年5月で、当時は奥様、息子様夫婦と4人暮らしをされていました。

 Eさんが68歳の頃、脳出血を発症し、その影響で左半身に麻痺が残りました。
屋内の移動は車いすを使用してご自身で行っており、ベッドや椅子から車いすへの移乗(乗り移り)も可能でしたが、令和5年1月に、椅子から転倒してしまい、寝たきりの状態になってしまいました。
 ベッドから車いすに移ることが一人ではできなくなり、ちょっとした移動や趣味のパソコンをしに自室へ行こうにも、誰かにベッドから車いすに移る動作を手伝ってもらわないといけないのが煩わしく感じておられました。家族様も意欲の低下につながらないか心配されていました。なんとか自分の力で車いすに移ることはできないかとEさんから相談を受けて、ラクーネという車いすのレンタルを提案させて頂きました。
 ラクーネは車いすの肘おきの部分を持ち上げるだけで車輪が後方に移動し、サイドガードを横に倒すと、ベッド・車いす間の橋渡しになる特殊な車いすで、一旦立ち上がる動作をしなくても、座ったままお尻を滑らせて横移動で乗り移ることができ、移乗動作の負担を軽減できるのが特徴です。

 しかし、ラクーネ導入当初は身体が思うように動かせず、一人で移乗することができない為、結局家族様の補助が必要な状態でした。自分一人で移乗することを目標に、毎日ラクーネを使ってベッドから車いすへの移乗練習をし、麻痺のない右半身の使い方や動かし方を工夫するなどの努力によって徐々にコツをつかみ、驚くことに一週間ほどの練習で、一人で移乗することができるようになりました。
 Eさんは、「家族に迷惑をかけることなく、自分の部屋へ趣味のパソコンをしに行けるようになって嬉しい。麻痺側だけでなく、右半身の運動にもなる。」と大変気に入っていただけました。車いすに一人で乗り移れるようになって、Eさんは以前より意欲的に行動されるようになり、趣味のパソコンを触る頻度も増えました。ベッド上で過ごす時間も減り、家族様にも「介護の負担が減って助かりました」と感謝のお言葉をいただきました。

 令和5年7月に介護施設へ入所されることになり、在宅サービスであるラクーネのレンタルも終了となりました。しかし、入所先の施設でも自立した生活を続けたいという思いから、ラクーネを購入して使っていただいており、今では在宅の頃よりも短い時間で移乗ができるようになったとのことです。自分で出来ることは自分でやり続けることを目標に日々過ごされています。
 福祉用具を使うことで出来なかったことが出来るようになった、介護の負担が減ったと感謝していただくことが、福祉用具専門相談員としてなによりのやりがいです。これからもご利用者一人一人に合った適切な対応に努めていきたいと思います。


株式会社ウィズ 東住吉営業所 福祉用具専門相談員 嶋田 流我

 【ラクーネ2】の動画はこちら⇨株式会社ミキ 公式YOUTUBE https://youtu.be/r5HqR-a-FBs?si=lPlwOlfDN72hEjGx
          横乗り車いす【ラクーネ2】 メーカー:株式会社ミキ
               アームレストが移乗ボードに変身します

6メートルの手すり

2023-09-01
6メートルの手すり
 私とKさんとの関わりは約2年前からになります。
Kさんは当時43歳、仕事中に脳出血で倒れ緊急搬送。右半身麻痺と高次脳機能障害、言語障害が残り、リハビリ病院に入院されていました。

 はじめてお会いしたのは、退院前にご自宅の環境を確認するためにお伺いした時でした。
Kさんとご家族、病院のリハビリの先生、ケアマネジャーを交えて、Kさんがご自宅で安全に暮らすことができるか、危険な箇所はないか、必要なものは何かを確認する場で、私も参加させていただきました。

 当時のKさんは基本的に車いすで移動をされており、平坦な道で少しの距離であれば四点杖を使用して見守りと軽介助のもと歩行は可能でした。
ただ、段差昇降に関しては手すりと介助がなければ困難な状態でした。病院では階段昇降の練習もされており、左手で手すりを持ち、介助により階段を昇り、
階段を降りる際は、後ろ向きで左手に手すりを持ち、先に麻痺側の右足を一段おろし、同じ段に左足をおろすというように、介助の方に支えてもらいながらではありますが、
一段一段ゆっくりと降りていくことは可能でした。

 ご自宅に戻るにあたって一番の問題は玄関扉から敷地外までの長い階段でした。 
12段もある階段で、手すり等の掴まるところもなく、別の入口もない為、その階段を通らないとご自宅に辿り着けない環境でした。
退院前に自宅の住環境を確認した際に、屋外用の置き型手すりも持参し検討しましたが、当時のKさんの状態では土台がある事で麻痺側の足が滑ってしまい、安全に昇降できませんでした。
その為、ご自宅に戻るには住宅改修での手すりの取り付けが必要不可欠でした。
階段昇降時に左手でしっかりと持てるよう位置を確認し、図ると必要な手すりの長さはなんと6メートル。ここまで長い手すりは初めてでした。
その他にも電動ベッドと車いす、四点杖をレンタルしていただく事になりました。

 退院日は約20日後でしたが、介護保険制度を利用し、退院にあわせて無事手すりの取り付け工事と福祉用具の搬入が完了しました。
長い階段を後ろ向きに降りなければいけない状況でしたが、支持する手すりを途切れることなく設置できたことで、無事ご自宅に戻ることが出来、ホッとしました。

 Kさんは退院後しばらくしてから基礎体力づくりとリハビリの為、障がい者自立支援センターへの入所を選択されました。
一年近くリハビリに専念され、見守り、軽介助のもと、四点杖ではなく一本杖で歩行が可能な状態にまで回復されご自宅に戻って来られました。
ご自宅に戻られてからも、もっと歩けるように、もっとご自身の言葉で話せるように、ご自身でできることを増やせるようにと、
介護保険では週3回のデイケアを利用しながらリハビリを続けておられます。
退院当初は手すりと介助がなければ昇降できなかった階段も、今では手すりとご家族の見守りで昇降できるようになられ、Kさん自身の外出機会の向上や、ご家族の介護負担の軽減に繋がっている様です。
ご入院中からご自宅で過ごされる事を強く希望されていたKさんでしたが、自立支援センターへご入所中も、週末はご自宅に戻って過ごすことができたのも、「6メートルの手すり」があることで、いつでも戻れる安心感が大きかったのではないかと思います。

 Kさんはとても真面目で、また昔から親思いの方で、ご両親に迷惑をかけたくないと、できる範囲で洗濯や洗い物などの家事を手伝っておられます。ご家族からも、手すりはとても助かっているといつもおっゃっていただき、私の励みになっています。これからもKさんとご家族の生活を、福祉用具や環境整備を通して支援させていただきたいと思います。


   株式会社 ウィズ 東大阪センター 福祉用具専門相談員 中井 崇博


継続した支援

2023-08-01
継続した支援
大阪市にお住まいのAさんのご担当をさせていただいて約3年になります。
お父様、お母様との3人暮らしで今年で5歳になられる男の子です。児童、子供向け番組のキャラクターが大好きで、いつも笑顔でテレビを見ておられます。

   最初にご相談をいただいたのは、Aさんが2歳の頃、病院のケースワーカーからのご相談でした。
けいれん重積型脳症のため入院されていましたが、在宅生活を始めるにあたって、日常的に痰の吸引が必要と医師からの指示があったとのことで、吸引器の相談を頂き、退院にあわせて吸引器を準備させていただきました。両上下肢に障がいがあり、ほぼ全介助ではありましたが、ご家族の介助のもとご自宅で生活をされていました。

その後、年齢とともに身体も大きくなられ、自宅でのご家族の介護負担も増えてこられました。
これまではご家族の介助のもと入浴をしていましたが滑りやすく、転倒しやすい浴室での介助は、ご家族にも負担がかかり、Aさん自身もゆっくりと入浴を楽しむことが徐々に難しくなってこられました。今後もご自宅での入浴を安心して継続して行えるように、看護師からの助言もあり、入浴用具の相談を頂きました。

お子様用の入浴用の担架や、洗い場で使用する洗身チェア等をご試用頂き、「洗身チェアではゆったりと一人でお風呂に浸かることができない」「お風呂でリラックスできる時間ができたら」との思いより、Aさん、介助者様ともに負担なく入浴していただける、入浴用の担架『湯らりん』を導入させていただきました。
ハンモックのようなネットに乗って、お風呂の中でゆらゆらリラックスでき、身体も楽に動かすことが可能となり、導入後はAさんの笑顔も増え、お風呂の時間が楽しくなったとうれしいお声をいただきました。
                   入浴用担架「湯らりん」
                 メーカーホームページより引用
        納品させて頂いた恐竜柄の電動ベッド
また、痰の吸引や、成長とともに身の回りの介護が増えていく事を考慮し、電動背上げ機能を活用し、今後も日常生活がより快適にお過ごしいただけるように、お子様用の特殊寝台も用意させていただきました。キャラクターが大好きなAさんのご要望に沿い、キャラクター模様の電動ベッドをご納品させていただきました。
お子様がご使用されるため、リモコンに触れ誤作動が起きないよう、介助者様がスイッチを踏んでいる時のみリモコン操作が可能な安全装置を付属し、ご家族、介助者様ともに安心してご使用いただいております。

ウィズでは小さなお子様から高齢者の方まで、様々なご利用者様と関わる機会があります。特に障がいを持つお子様は、成長と共に身体機能や介護状況が変化し、その変化に合わせて、適時生活環境を見直す必要があります。

 今後もご利用者お一人お一人の個別性を重視し、適切な必要な対応を心掛けていきたいと考えています。


       
          株式会社ウィズ西営業所 福祉用具専門相談員 今岡稔雄



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