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修理屋スグルとフットレストの陰謀(①序章編)

2021-07-02
俺の名は才本卓。

株式会社ウィズに入社して17年目で現在は車椅子の整備と消毒を
担当している。

本日も電車に揺られ東大阪センターに出勤だ。
同じ時間に電車に乗って、同じ時間に出勤して同じ日々を送るのは実に美しい。
平穏な日々は何と美しいんだ。

同じように一日が始まり同じように一日が終わる。
これが私の美学だ。

そんな思いを抱きながら本日も東大阪センター事務所着に到着だ。
今日も平和な日々を送りたいものだ。
9時から業務開始だが、少し早めの8時20分にオレは出勤する。

少し余裕を感じながら作業服に着替えて準備を行い、徐々に9時からの業務に向けて集中力を高めるのだ。
この時間が重要で仕事がうまくいくかはこの時間次第なわけだ。
 
今日も完璧に準備完了だ
さあ、9時からベストを尽くそうか
 
朝の打ち合わせも終わり業務開始だ。
まず1台目に点検する車椅子を選ぶとしよう。
この1台目が重要で、流れに乗れるかは最初の車椅子に全てかかっている。

慎重に慎重に車いすを選ぶ
 
その時、1台の車椅子と目が合った。
この車いすなら間違いないとオレは確信した。
きっと今日1日の流れを決めるのにふさわしい車いすなはずだ。
1台目はこの車いすにするとしよう。
作業場に車いすを運び、点検開始だ。

この1台が上手くいくかで私の一日が決まるわけだ。

慎重にまずブレーキから点検する。
車椅子の破損箇所はブレーキが多く、ここさえクリアすれば一気に流れに乗ってくる。

緊張感を持ちながらブレーキレバーを握る。

ゆっくりブレーキ部分がタイヤに当たり、後輪の動きを止める。

これで後輪が動かなければブレーキは効いており、ブレーキ点検という最大の難問はクリアしたことになる。
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バッチリ効いている
タイヤが少しも動かない
これでブレーキ点検は問題なくOKだ。
 
最大の難所をクリアしたことで、気持ちが向上していく
さあここから一気に点検していこうか
先程の緊張が嘘のように、順調に整備が進んでいく
 
今日も素晴らしい1日になる
そう確信した
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しかし後にあんな事件が起きるとはこの時はまだ知らなかった‥‥…
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恐るべき魔の手が襲いかかろうとしていた。
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