介護現場の体験談を中心に、福祉用具についてのご紹介、介護保険等に関する情報を定期的に発信させて頂きます。
弊社とお客様のコミュニケーションの一助となれば幸いです。
心温まるストーリー★介護の現場から~介護すること、されること~★
ウィズ便りがつないだご縁
2023-07-03
ウィズ便りがつないだご縁
70歳のBさんは若い頃から市民マラソンに参加したり、水泳をしたりと、身体を動かすことが好きな方で、お父様、お兄様と3人で暮らしています。
令和3年2月、脳出血を発症しご入院、懸命にリハビリをされましたが、左上下肢に麻痺が残りました。退院後は施設に入所され、コロナ禍の面会制限でご家族とも会えず、一番辛い時期を過ごされました。
令和3年11月に自宅に戻った後は、ほとんど外出せず、麻痺のない足と手で車いすを操縦し、室内を移動していました。
そんな時に、テレビ番組でコギー(足漕ぎ車いす)を目にし、両足でこげる車いすに乗り、自分の力でペダルを漕いで車いすを動かしてみたい、
麻痺のある左足を動かすことでリハビリになるかもしれない、コギーを試乗してみたい、と思われました。
しかし、コギーを用意できる福祉用具事業所がなかなか見つからず、諦めかけていた頃、
ウィズ便りでコギーを利用している方の体験談を読まれた担当ケアマネジャー様から、
弊社へ相談のご連絡をいただきお試し頂くことになりました。
Bさんは驚くことに、初めて試乗した日から右足で力強くペダルを踏み込み、漕いだ勢いで麻痺側の左足も動き、ゆっくり室内を移動することができました。
しかし、左足の股関節が硬くなっている為、ペダルを漕ぐごとに左足が外転(外側へ向く)し、コギーのタイヤに足が当たってしまうことが判明しました。
そこで、付属品のレッグアシスト(伸縮性のあるバンド)を追加し左足に装着することで、外転することなく利用できるようになりました。
コギー導入当初は方向転換する時のハンドル操作や、室内の段差乗り越え時のスピード調整等、慣れない操作に戸惑われていたBさんですが、日々の努力で徐々にコツをつかみ、室内のみの利用から、屋外でも利用されるようになり、週2回程自宅近くの公園まで行かれるなど、移動距離も少しずつ長くなっていきました。
また、訪問リハビリの前には30分間コギーを漕ぎ、足を動かしリハビリの準備運動をすることも日課になりました。そうすることで、左足を出す幅が大きく、動かしやすくなり、足も軽くなったように感じておられます。
入院中のリハビリでは、介助者に後ろから両手でしっかり腰を支えて貰いながらの歩行でしたが、今では装具をつけ、四点杖や平行棒を利用し、介助者の見守りの中、ご自分の力で歩行訓練をされています。
最近はコギーで近くのスーパーマーケットへ行き、様々な商品をご自分で見て、買い物することを楽しみにされており、また、知らない方から「リハビリ頑張ってください」と声をかけて貰うことも励みになると話されています。
退院後はご自宅で過ごすことの多かったBさんですが、コギー導入後はリハビリに意欲的に取り組み、活動範囲を広げておられます。今後はデイサービスへ行く際にもコギーを利用し、施設内の移動もご自身で行いたいと、さらなる機能回復を目標にされています。
足代わりの車いす
2023-06-07
足代わりの車いす
Mさん(男性)は糖尿病を患い、治療を続けながらも、長年お母様の介護をされていました。
昨年の3月頃に玄関先で転倒され、左足を骨折し、ボルト固定で過ごされていましたが、その間もお母様と外出の際は、Mさんが車いすを押して出かけておられました。多少の痛みはあったもののお母様の介護を優先し、無理をしてそのまま過ごされていました。徐々に左膝下の痛みが激しくなり病院に行かれたところ、既に壊死が進行し、左下腿から切断することになりました。その後お母様が他界され、お一人での生活が始まりました。
左下腿切断のため、歩行ができず、室内は両手を支えにして臀部をついて移動し、外出はお母様の時に使用していた自走式車いすを自走して外出されていました。近場の平坦な道では問題なく移動できていましたが、通院までの道中に長い坂道があり、車いすを両手で漕いでの自走では坂を上れず、車いすを後ろ向きにし地面を蹴って坂を上っておられ、かなりの負担がかかっていました。この坂の移動が一番大変だったと振り返られています。
左下腿切断のため、歩行ができず、室内は両手を支えにして臀部をついて移動し、外出はお母様の時に使用していた自走式車いすを自走して外出されていました。近場の平坦な道では問題なく移動できていましたが、通院までの道中に長い坂道があり、車いすを両手で漕いでの自走では坂を上れず、車いすを後ろ向きにし地面を蹴って坂を上っておられ、かなりの負担がかかっていました。この坂の移動が一番大変だったと振り返られています。
玄関出入り口の段差を完全に解消するとなると、スロープが長くなり、市営住宅の廊下幅が狭くなり、車いす自体が90度回転できなくなるので、少し段差を残した状態での短めの設置になりました。
残った段差は、この電動車いすの特徴である大きい前輪タイヤで、うまく段差を乗り越える事ができ(※2)、室内の上がり框の段差もスロープを置いて居室内まで入る事ができました(※3)。
また、玄関ドアが内開きの為、開けた状態を固定することができず、出入りが困難でした。
お一人で電動車いすに乗ったまま出入りができるよう、Mさん考案のロープを利用したドア固定具が活躍しました(※4)。
Mさんは昔バイクショップで働かれており、よくバイク修理などもされていた為、手先が器用で、お一人で何でもしたいという思いがありました。
ヘルパーサービスの利用もなく、生活全般の事は基本的にお一人でされ、買い物の荷物が多い時などはご友人や近隣の方の協力を得ながら生活されています。
Mさんにとって車いすは無くてはならない足代わりであり、今では、近場のスーパーへは以前からある私物の自走式の車いすを漕いでスーパー内まで入って買い物をし、坂のある長距離の通院等は電動車いすを利用されています。
以前は坂の上りを後ろ向きで片足漕ぎし、車両や歩行者にも注意しながらの自走、下りはブレーキを調整しながらの安全確保等、本当にしんどい思いをされていたので、電動車いすを利用することで、楽に坂を上り下りすることができるようになり、安心して移動できるようになったと喜ばれています。
場面に合わせて車いすを使い分け、今まで負担のかかっていた事を福祉用具を利用する事で負担軽減のお手伝いができた事をうれしく思います。今後もさまざまなケースで、「福祉用具があって助かった」という声をいただけるよう、ご支援させていただきます。
株式会社 ウィズショールーム 福祉用具専門相談員 記虎邦之
自分を大切にしながら、ご家族の介護を続けていくために
2023-05-02
自分を大切にしながら、ご家族の介護を続けていくために
弊社でレンタルをご利用中のAさんは、現在要介護度5で生活全般に介助が必要ですが、ご主人はAさんの介護を続けながら、趣味やボランティア活動にお忙しい日々をお過ごしです。
Aさんが元気な頃は、弊社も出店している京急百貨店でご夫婦揃ってお買い物を楽しまれていました。
しかしコロナ禍の2021年1月頃、Aさんのご様子に変化が見られるようになりました。
食事の準備など、ごく普通の動作ができない、特にお買い物の際、お金の勘定ができないなど、ご主人は「これはおかしいな」と感じたとのことです。
2021年の暮れには奥様が外出先で転倒、ご近所の方に連れられてご帰宅されました。それ以後外出が不安になられ、一人での外出を控えるようになられたそうです。
ご主人が、京急百貨店・健康介護売場にご来店され、4点杖をご購入、介護ベッドの利用がスタートしました。
2022年4月頃、Aさんがご自宅で転倒され、それを機に、室内に手すりを取り付け、段差解消工事を実施。
その後、全身の機能低下や尿路感染症の為ご入院されます。2週間のご入院でしたがコロナ禍により面会はできず、認知症も進んでしまいました。
無事にご退院しご自宅へ戻られましたが、ほぼ寝たきりの状態でした。ケアマネジャーの提案で、訪問介護・訪問看護及び入浴サービスを利用されました。
それと同時に、ショートステイサービスの利用についてもケアマネジャーより提案を受けられたそうですが、
利用については、ご主人の心に葛藤があり、「自分が楽になるだけではないか」と相当悩まれたそうです。
そんな折に、ご主人が観られたあるテレビ番組の中で、
そんな折に、ご主人が観られたあるテレビ番組の中で、
「介護する人自身が自分の時間を楽しむ事が、次の介護の良さにつながる。自分の時間を作る事。」
という内容のお話があり、ハッと気付かされたそうです。
そして、2022年8月にショートステイサービスを開始され、現在も月一度のサービス利用をご継続中です。
Aさんもショートステイの利用については、拒否感無くお過ごしになられています。
ご主人は、実は趣味がジャズ合唱。
横浜は元々、日本最大級のジャズフェステバルが行われるくらいのジャズが盛んな土地柄です。年1回の発表会も、横浜市の馬車道にあるジャズ・バーでおこなっています。
またボランティア活動として「国際交流センター」で、外国人の方から母国語を学ぶ、外国語会話10教室のリーダーとして活躍されています。
このように趣味やボランティア活動ができるのも、Aさんのショートステイサービスのご利用があるからです。
Aさんの介護の日々も元気に送られており、笑顔で奥様とコミュニケーションを取られるようになられました。
ヘルパーや訪問看護師さんなどサービス事業者の方々との関わりの中で、一時はほぼ無くなっていたAさん自身の表情にも明るい変化がみられ、天気のお話などコミュニケーションを取ることが出来るまで回復されてきました。
ご主人曰く、福祉用具で一番助かっていることは、ベッドの背上げ機能で、かなり介護負担が軽減できているとのこと。
日中Aさんは室内用ティルト・リクライニング車いすを利用され、寝室から離床し、リビングでご主人と食事をとり、2・3時間程日光浴をされ、穏やかに過ごされています。
Aさんのショートステイサービス利用前は、肉体的にも精神的にもつらい日々だったそうですが、ショートステイの利用後は、ご自身の時間を持つことでき活きいきとしておられます。
ご主人の日々の心がけは、「自分ができることをする。決して無理はしない。」介護を続けるコツを教わりました。
株式会社ウィズ 横浜営業所 福祉用具専門相談員 市原康雄
住み慣れた地域での生活
2023-04-03
住み慣れた地域での生活
Tさんは、50年に渡りこの地域で生活され、ご近所には古くからの馴染みの方が多く、地域の方々に見守られ温かい環境で過ごされています。
元々活発な方で、旦那様の理解もあり、友人たちとプールやゴルフを楽しまれ、毎日散歩にも出ておられました。
旦那様を7年前に亡くされ、現在はお一人暮らしではありますが、長男様が頻繁に様子を見に来られ、安心して生活をされていました。
昨年に左足の重さ・だるさを感じ、近くの整形外科を受診、医師からは骨粗鬆症の診断を受け、服薬、治療をしてこられました。
しかし良くなることはなく、日に日に痛みも強くなり、友人に相談し別の病院を受診。
精密検査の結果は、もっと深刻な診断でした。
検査結果を聞く時に同席されていた長男様も当時を振り返り、「そこまで悪いと思っていなかったので、聞いた時は肝が冷えた」とおっしゃっておられました。
その後手術を受け、異常があった部分の治療を無事に終え、リハビリの末、今年1月に退院してこられました。
退院後の足の状態は、足先が下がってしまう下垂足となり、外出をされる際には、転倒防止の為に装具が必須となりました。
退院後の足の状態は、足先が下がってしまう下垂足となり、外出をされる際には、転倒防止の為に装具が必須となりました。
室内では装具は装着せずに過ごしておられましたが、寝室が2階にあり、階段ののぼりおりの際に足が階段に引っかかり、
転落の危険性があった為、やむなく寝室を1階へ移してこられました。
しかしベッドはリビングルームに置いておられ、来客に気を遣う状態でありました。
まずはきちんと寝室を作りたいというご相談を頂き、お伺いさせて頂くこととなりました。
1階奥に物置になってしまった部屋があり、そこを寝室に改修することとなりました。
その為には、まず大量の荷物を整理処分する必要があり、長男様にご協力いただきました。
お部屋入口に7cmの段差があり、下垂足が引っかかり転倒の危険性が高いため、床を嵩上げし段差をなくしました。
また、足を滑らせて転倒するリスクも高い為、床材を板間から滑りにくいクッションフロアにしました。
あとは季節問わず快適にお過ごし頂ける様に、エアコンの設置も行いました。
また、洗濯機や物干し場が2階にあったため、1階で洗濯を行えるようにするのはどうかと提案をさせて頂きましたが、
急激に大きく生活環境を変えることに戸惑いがあるご様子であった為、ひとまず洗濯の件は息子様ご夫婦のご協力を頂くことになりました。
改修のポイントは、寝室を作ることで、トイレや浴室への動線を短くすること、寝食の場所をきちんと分け、生活のメリハリをつけることです。
以前のような活動的な生活を取り戻していただきたいと考えました。
改修後はリビングルームに置いていたベッドがなくなり、ご友人たちが来られても、気兼ねなくリビングルームにお通しできるようになりました。
改修後はリビングルームに置いていたベッドがなくなり、ご友人たちが来られても、気兼ねなくリビングルームにお通しできるようになりました。
また以前のように、自宅でご友人たちを招いてお話しができると喜んでおられます。
施設という選択肢も考えておられたようですが、長年住んでいるこの家、この地域での生活を息子様や友人、
地域のコーディネーターの方々に見守られながら、安心して続けていけるようにしたいと話すご本人。
ご本人が望む生活のお手伝いができるこの仕事の大切さを改めて実感させて頂きました。
今後も身体状況の変化に合わせ、住環境を見直し、自宅での生活が楽しめるよう継続して支援させて頂きます。
株式会社ウィズ 東住吉営業所 福祉用具専門相談員 芦硲健人
Kさんと車いす
2023-03-06
Kさんと車いす
Kさんはルールを大切をされる真面目な方でした。
長年、鉄工業を営まれる中で、膝関節の痛みが続き、歩行も困難になってこられました。
元々、活発でご家族思いのKさんは、以前と同じように、ご家族と一緒に楽しみをもちたいと願われ、両膝関節及び頚椎の手術を受けられました。
術後、動けない身体ではいけないと奮起され、お孫様との外出を目標に、自宅に帰れる日を目指し、必死にリハビリに励まれました。
退院後も手指のリハビリになるからと、内職等もされながら、近隣の散歩を欠かさず、体力維持・向上に努められました。
しかし、自宅から病院までの片道1㎞の移動が難しくなられ、ご自身の力で移動したいとの思いから、移動方法のご相談を頂きました。
カンファレンスの中でご意向を確認し、電動車いす利用について検討、操作や周辺環境及び安全な移動ルートの確認をご一緒させて頂き、ご利用がスタートしました。
活動的なKさんは、いつも敬老会の旅行やご夫婦、家族様、特にお孫様とのお買い物等、電動車いすでの外出時の様子を、充実した表情で嬉しそうに話して下さいました。
また電動車いすでの体験談をお聞きし、交通環境の相談を頂きました。ご自身の体験として、病院や整骨院への外出の際に、自動車が自分のすぐ横をとても速いスピードで通り過ぎて接触しそうになり怖かったことや、走行中に後方の自動車に気づき、停車して進路を譲ったが、後方に張り付かれる等の怖い体験を伺いました。
どのようにすれば安心して移動できるか話し合い、交通量が少ないルートの選別、ドライバーに認識してもらえるライトを取り付ける等、様々なことに一緒に取り組みました。
その中で、いつも電動車いすがドライバーからは死角になりやすく、認識し辛く迷惑をかけてしまわれると嘆いておられました。
「車いすで移動することで周りに迷惑がかからないように、自分は絶対に交通ルールを守らないといけない」という思いも、より強くなっていかれました。
同時に、多くの方が交通ルールを守ることで、車いす利用者を含む誰もが過ごし易い環境にしてほしいとの願いを話していただきました。
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