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福祉用具消毒メンテナンス

修理屋スグルと沈黙のFIVE LIARS.4  第一部 序章編④

2022-05-02
【数日前のある日】

数日前、オレはいつも通り株式会社ウィズの東大阪センターで修理を行っていた
 
プルルルプルルルプルルル
 
内線電話が鳴っている
 
オレは電話に出る
「お疲れ様ですスグルです!!」
 
電話の相手が言う
「お疲れ様ですスグルさん!!」
ボスがお呼びですよ」
 
「かしこまりました」
「すぐに行きます!!」
そう答えて、オレは電話を切った
 
「ボスかぁぁ………」
 
ボスというのは、この東大阪センターの課長のことだ
もちろん我が部署のトップの人間だ
誰が呼んだか通称ボスと呼ばれている
 
「ボスに呼ばれるということはただごとではない!!」
「スペシャルな修理依頼か?!…」
オレはワクワクしながらボスの元へ向かう
 
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……………………
 
「失礼します」
オレはボスの部屋に入る
 
「おつかれさん!!」
「よく来てくれた!!」
ボスが答える
ボスは風格のある人間だ。
この言葉だけでもオレは緊張してしまう
 
「君を呼んだのは他でもない」
「実は君にある任務を行ってもらいたい」
ボスが話し始めた
 
 
「きた…修理依頼だ…いったいどんな修理だ…」
オレの頭の中は期待と緊張でパニックになる…
 
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「実は明日から株式会社AVECの南支店に行ってもらいたい!!」
ボスの要件は「その一言」で完結してしまった
 
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「………………………………」
「………………………………」
「………………………………」
「………………………………」
 
ボスはそれから何も話そうとしない…
えっと?!…どういうことだ?!…とりあえず修理の依頼ではなさそうだな?!………
明日から別の会社に行くのか?…‥それはつまりどういうことだ………
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オレはある結論に達した…
 
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「クビですか?……」
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オレの頭の中の声が外に漏れてしまった…
 
「ひどい…ひどすぎます…オレは修理屋として17年間ウィズのために頑張ってきました……」
「それをいきなりクビだなんて……ひどい…あんまりです……」
オレは「ブレーキが壊れたダンプカー」のようにボスにまくし立てた
 
「………………………………」
「………………………………」
「………………………………」
 
ボスはなにも答えようとしない
話はこれで終わりということか?
これでオレの修理屋としてのキャリアは終了ですか?
ボズよ! あなたは鬼ですか…?
 
「では失礼致します」
「今までお世話になりました」
オレはあきらめて部屋を出ようとする
 
「さっきから君はなにを言っとるんだね?!!!」
ボスが口を開く
 
「えっと……クビじゃないんですか?……」
 
ボスは話を続ける
「違う!!話は最後までちゃんと聞け!!」
「実はウィズがレンタル商品を提供している顧客にAVECという会社がある」
「そこの社長とウィズの社長が旧友の仲なのだが……」
「その南支店で最近奇妙な事件が起きている」
「そこには優秀な若手社員がいるのだが…」
「彼の身に最近ニ件のクレームが連続して発生した」
「1件目は訪問時間のミス、2件目は車いすに関するクレームだ」
「いずれも優秀な彼には考えられないミスだ」
「彼を恨んでいる誰かの犯行かもしれない」
「そこで君に、南支店に潜入して事件を調査してもらいたい」
 
ボスの思わぬ言葉にオレの頭は真っ白だ……
とりあえずクビではないのか…
しかし明日からですか……急過ぎないですか……
 
オレが頭の中で考えている間にも、ボスの言葉は続く
 
「修理屋スグルよ!!!!」
「株式会社AVECの南支店に潜入し、事件を解決してくるのだ!!!!」
「これが君に与えられたミッションだ!!!!」
 
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ということで1週間前からオレは正体を隠してこの南支店に潜入している
そういえばボスが最後にこんなことを言っていた
 
「ちなみにAVEC社にはメンテナンス部門はない
「昔は存在していたが、数年前にある事があり廃止になったそうだ」
「だから今回は事務員として潜入し、事件を調査し解決するのだ」
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という訳で、オレは修理屋ではなく事務屋としての日々を送っているのだ
しかしそれもそろそろ限界が近付いている
「スパナ握りたい…ネジを締めたい…メンテナンスがしたい…」
ホームシックならぬメンテナンスシック
禁断症状寸前である
 
オレに残された道は一つしかない
早く事件の全貌を暴き出し、解決することだけだ
 
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事件を整理してみよう
 
「ホープ君のクレーム」は
1件目が訪問時間のミス
2件目は車いすのクレームだ
2件目はオレが来る前の出来事だ。残念ながらこの車は既にウィズに返却しているので調べることができない。
 
そして3件目と4件目が「先程の空気が抜けた車いす2台」
この短期間で4件のクレームは明らかに明らかに不自然だ
やはりホープ君を恨む誰かの犯行なのか?!
 
 
ホープ君を可愛がっている課長の犯行か?
ホープ君に売上を抜かれた営業主任か?
ホープ君がイライラするせいで平和を害されている販売事務の花子さんか?
もしくはホープくんに差をつけられている見習い君か?
あるいはホーブ君の自作自演か?
 
やはりこの5人の中に犯人がいるのか?
 
何食わぬ顔で平凡に業務を行いながら、とんでもない憎悪を隠し持っているペテン師……
 
この5人の中に嘘つき(LIAR)が存在しているというのか?


     続く
 
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