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福祉用具消毒メンテナンス
株式会社ウィズでは介護用ベッドや車いすなどの福祉用具レンタル商品のメンテナンスにおいて、ひとつひとつ丁寧な作業を心がけています。
回収されてきた用具を、清潔で安心な用具として再利用できるようにメンテナンスを行います。
洗浄、消毒、点検、修理など技術や経験を要する作業は専門のスタッフが、隅々まで徹底的にチェックを行い、新品同様の状態に整備いたします。

弊社はISO9001を取得しており、メンテナンスの品質管理や衛生管理に厳しい定めを設けており、結果、ご利用者様やケアマネジャーの方々から信頼をいただいております。

レンタル商品洗浄・消毒工程

弊社のレンタル車いすとバーコード管理
レンタル福祉用具を次の方に安心して利用していただけるように管理された【消毒・洗浄・メンテナンス・保管】を行なっています。

全てのレンタル商品はバーコード管理がされており商品入荷時より 【出荷・引取・消毒・保管・廃棄】までを管理しています。(帰歴管理)


⬇︎消毒・メンテナンスの詳細な工程はこちら⬇︎
修理担当の現実と妄想の間 日記

修理屋スグルの消毒メンテナンス日記一覧

★歩行器の整備と消毒 (1話読み切り)

★後輪タイヤ交換の巻 (全2話)

★駐車ブレーキ交換の巻 (1話読み切り)

★虫ゴム交換の巻 (1話読み切り)

★修理屋スグルとフットレストの陰謀 (全3話)

★修理屋スグル戦慄のパーキングミッション (全7話)

★修理屋スグルと沈黙のFIVE LIARS 第一部 序章編 (全4話)

★修理屋スグルと沈黙のFIVE LIARS 第二部 事件編 (全4話)

★修理屋スグルと沈黙のFIVE LIARS 最終章 真相編 (全5話

修理屋スグルと沈黙のFIVE LIARS.13  最終章  真相編⑤−2

2022-12-14
【LIAR CASE. 4】ホープ君の嘘
 
当時の僕は忙し過ぎてどうかしていたんです!!…
売り上げが上がるにつれて周囲の期待はどんどん高くなっていく!!…
僕はプレッシャーに押しつぶされる寸前でした
もう限界寸前だったんです……
 
そんな時に最初のクレームが起きました…
僕はメール通りの時間に訪問しましたが、なぜか利用者様に怒られました…
怒られながら僕は思いました
 
「もう辞めたい……営業なんてもう嫌だ……今すぐ辞めてしまいたい…」
僕はノイローゼ一歩手前まで追い込まれていました……
 
ある日車いすを1台納品することになりました
僕はその車いすを見て思いました……きっと弱さが出てしまったのだと思います……
「もう一度クレームが起こらないか……?そうすれば2件連続でクレームだ…」
「そうすれば僕は営業から外れるんじゃないか……このプレッシャーの日々から開放されるのではないかか……」
 
結局利用者様に迷惑はかけたくないので、車いすは問題無く納品しました
 
しかし課長には嘘をつきました
僕は課長に車いすが原因で、現場でトラブルになってクレームになってしまったと伝えました
………………………………
 
なんと……
どうりで、破損した車いすが見つからないハズだ…
そもそもそんな車いすは最初から存在していなかったのだ…
 
2件目の車いす事件の真相‥…
それは…営業をやめたいホープ君の自作自演だったのだ!!!!
 
こんなに優秀に見える青年も、実は目に見えない重圧と常に戦い続けていたのだ
つくづく社会とは恐ろしい戦場だ…
 
………………………………
「分かったわ……」
花子さんは……その一言だけを発して……部屋から出て行った……目には涙が浮かんでいた……
 
これから花子さんがどう生きていくかは誰にも分からない
しかしこんな事件を起こすことは二度とないだろう……
 
しかしホープ君まで嘘を付いていたとは驚いた!!
こんなに真面目で優秀に見えても実は心に闇を隠し持っていたのだ
これで南支店の5人中4人が嘘つきだ
 
「結局正直者は君だけだったよ」
オレはホープ君の隣りにいた見習い君に声をかけた…
 
………………………………
見習い君が返事をしない………
………………………………
 
まさか……
………………………………
 
「ぼく本当はスグルさんに言わないといけないことがあるんです……」
見習い君がボソリと言う…
 
「まじかーーーーーー!!!!!キターーーーーーーーーー!!!!!!」
「ええええええーーーーーー!!!!!!」
「まさか見習い君までーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「キャャャャャャヤーーーーー!!!!!!!!ヤメテーーーーーーーーー!!!!!!!!」
 
【LIAR CASE. 5】見習い君の嘘
 
「ぼく…本当は彼女がいます……」
 
………………………………
 
オレは呆然とし過ぎて……言葉を発するのを忘れていた…
「えっと‥……すいません……念のため確認なのですが……お話は以上でよろしかったでしょうか?」
オレは一応見習い君に確認してみた
 
「はい!!…以上です…黙っていて申し訳ございませんでした……反省します…許して下さい……」
見習い君がいつに無くキビキビとオレの質問に答えた…業務中もそれぐらいテキパキしてほしいなぁ……
 
「あの………特に問題ないかと思います……もっと重い内容を想像していたので……それぐらいなら全然大丈夫です」
「一応聞きますけど……どうして最初は彼女はいないと言われたんですか?……」
オレは見習い君に一応聞いてみた…そしてなぜか敬語になっていた…
 
「スグルさんが悲しむと思ったからです!!!!」
 
見習い君は即答でそう言い切った!!
何と頼もしい!!仕事もその勢いで頑張ってくれーーー!!!!
 
見習い君も一応みんなに嘘をついていた
これでめでたく、この部署の人間は5人全員LIAR(嘘つき)だ
まぁオレも正体を隠して潜入していたのだから嘘つきだ
オレと5人の嘘つき達‥…題して…‥修理屋スグルとFIVE LIARだ!!!!
 
さて……これでオレがここで出来ることはもう何もない‥…別れの時だ……
オレは株式会社ウィズ東大阪センターに戻ろうとする…
 
「僕達はこれからいったいどうすればいいんですか?」
ホープ君と見習い君が同時に聞いてきた
 
「それは自分達で考えるんだ……」
オレは彼らの質問に答えた
「これからこの南支店でどんな困難が待ち受けているかはオレには分からない…しかしあきらめずに困難に立ち向かっていくんだ!!!!」
「君達二人なら大丈夫だ!!!!任せたぞ!!!!」
 
オレはそう言って南支店を後にした……
 
この先どんな運命が株式会社ABECと南支店に待っているかは分からない
しかし諦めなければ可能性は無限大だ!!!!
頑張れ若者達よ!!
未来に幸(さち)あれだ………
 
…………………………
…………………………
 
【数年後】
数年後、オレは街を歩いていた
………………………………
とある状況がオレの視界に入ってきた
………………………………
若者が高齢者の方と話をしている
………………………………
若者は福祉用具専門相談員のようだ…
高齢者さんは…利用者様に見えた……
………………………………
利用者様はやや怒られている様子だ…‥どうやら車いすが壊れたので担当を呼んだみたいだ…
………………………………
若者は申し訳ございませんと謝罪をする
そして少しお時間を下さいと言って、車の中から工具を取り出した……
………………………………
なんと…その若者は利用者様の目の前で、車いすの修理をし始めたのだ…
何度か失敗していたが…諦めずに頑張って車いすと戦っている…
………………………………
腕前は……まぁ……なんだ……
オレに言わせればマダマダだ…オレの足元にも及ばないレベルだ…
しかし一生懸命さだけはガンガン伝わってくる…必死だ…
………………………………
やがて修理が完成したようだ
利用者にお待たせしましたと報告している…
………………………………
利用者様も「ご苦労様」と車いすが直ったことに感謝をしている
………………………………
そしてオレはある事に気が付いた
笑顔だ……利用者様が笑顔になっている…
最初は怒っていた利用者様が、今は笑顔になっている
………………………………
やはり修理は人を笑顔にするのだ…
………………………………
そしてその笑顔に嘘はない
そうそれは‥…
決して嘘偽りの無い心からの真実の笑顔だ!!!!
 
………………………………
………………………………
その若者は黄色いジャンパーを着ていた…
………………………………
「いつ見ても派手なジャンパーだなぁ」
オレはそうつぶやく
………………………………
気がつくと……オレの顔にも笑みがこぼれていた‥…
………………………………
………………
素晴らしい光景を見た
今日はいい日になりそうだ
………………………………
…………………………
 
 
修理屋スグルと沈黙のFIVE LIAR 完
 
………………………………
 
【AVEC南支店連続事件概要】
事件1.ホープ君の訪問遅刻事件
(被害者)ホープ君
(犯人)営業主任
(動機)活躍するホープ君に主任がミスをさせる為
事件2.ホープ君の車いす不良事件
(被害者)ホープ君
(犯人)ホープ君
(動機)ホープ君の自作自演。クレームを起こすことでホープ君が営業から外れようとした
事件3.4  車いすパンク事件
(被害者)ホープ君
(犯人)花子さん
(花子さん)最初はメンテナンス部を閉鎖に追い込んだことへの復讐。途中からはABEC社にメンテナンスの重要性を訴えるため。そしてメンテナンス部を復活させる為。
事件5  車いすハンドルぐらつき事件
(被害者)営業主任
(犯人)花子さん
(動機)事件3.4と同じ…

修理屋スグルと沈黙のFIVE LIARS.13  最終章  真相編⑤−1

2022-12-14
花子さんの話は終わった……
まさか花子さんと この南支店にそんな過去があったなんて……
今思い出しても衝撃的なエピソードだった
そして オレ以外にも、自分を修理屋と名乗るがいたなんて…笑
オレはまだ頭の整理ができずにいた……
 
「どうか…見逃してはくれませんか……?…」
花子さんが突然言い出した
 
「あなたも修理屋なら私の気持ちが理解できるはずだ……」
花子さんはさらに話を続ける
 
「この会社の人間はメンテナンスのことなんてまるで分かっちゃいない……むしろ…必要ないと考えている」
花子さんの話は止まらない……今まで胸の中に隠していた思いが湯水の如く一気に溢れ出している……
 
「一度この会社の社員にメンテナンスの恐ろしさを教える必要があるのだ……私はそのために事件を起こした……」
「私は修理屋からメンテナンスの楽しさを教えて頂いた…‥それをこの会社の社員にも教える義務がある…そのためなら私はどんな事でもやる…例えそれが痛みを伴う結果になったとしてもだ…私は決して間違ってはいない……私がやっていることはむしろ必要悪だ…」
花子さんの理屈は滅茶苦茶だが、一応筋は通っている……
 
しかし………しかしだ‥………
「それは違う!!!!」
オレは花子さんに反撃する
 
「花子さん…それは違う…!!」
「あなたが修理屋から学んだメンテナンスは、そんな目的のために使うものだったのか?…」
「あなたが学んだメンテナンス……それは……」
それは……
「それは人々を笑顔にするためのメンテナンスじゃなかったのかい!!?」
 
花子さんの表情が少し変わった…
 
「こんなことをして誰が喜ぶんだい?……一体これで誰の顔がが笑顔になるというんだ‥…」
「メンテナンスを広げたいなら他にもやり方かあるだろう?……君が中心になって社員に教えていけばいいだけじゃないか?」
 
オレの声が通じたのだろうか?…花子さんの顔がどんどん柔らかく変化している
それは笑っているような、泣いているような不思議な表情だ
 
「もうこんなことはやめてくれ…!!」
オレは花子さんにもう一度訴えかけた…
 
「しかし…今更…わたしに…どうしろと……」
花子さんはまだ引き下がろうとしない……
 
その時……
……………………………… 
 
二人の人間が部屋に入って来た!!!!
 
ホープ君と見習い君だ…!!
二人はどの時点からかは分からないが…オレと花子さんの話を聞いていた…
そして我慢できなくなり、部屋に突入してきたのだ
 
「花子さん…お願いです‥…もうやめて下さい…」
ホープ君が花子さんに言う
 
「入社したての僕達に花子さんは優しく仕事を教えてくれた‥あの頃の花子さんに戻って下さい…」
「メンテナンスを広めたいなら僕達が覚えますよ……僕達に教えて下さいよ……」
ホープ君が必至に訴えかける
 
花子さんの目には涙が溜まり始めていた… そして静かに口を開く
「分かったわ…これ以上メンテナンスを汚(けが)すのはもうやめるわ……」
花子さんはようやく分かってくれたようだ…
 
「しかし私はもうやり直すことはできない……どうやら大変なことをしてしまったようだ……私はもろい人間だ……あなたのように強い人間ではない……」
花子さんがホープ君に語りかける…
 
「そんなことないです!!」
ホープ君が突然強い口調で言った
 
「実は僕はそんなに強い人間じゃないんです……実は皆さんに隠していることがあるんです……」
そう言って、ホープ君は語り始めた

修理屋スグルと沈黙のFIVE LIARS.13  最終章  真相編⑤

2022-11-16
【LIAR CASE.3】真犯人花子さんの嘘 (PART.2)
 
配属されて数年…私もそれなりに仕事が出来るようになった
そして今年は新入社員が二人も南支店に配属されてきた‥
一人はしっかりしている未来のホープ……もう一人はちょっと頼りないまだ見習い中の新人くん‥…
私もいつまで夢ばかり追いかけてはいられない…
修理屋になる夢はいったん諦めよう……
一社会人として後輩の頼りになる立派な社会人にならなくてはいけないのだ…
 
そう思っていた………
あの話を聞くまでは………
 
課長と主任が隠れて話をしている…二人でコソコソなにを話してるのだろう……
私はバレないように、その話を聞いた…
 
主任
「今度○○さんのお宅に訪問に行きます」
 
課長
「確か〇〇さんは車いすをレンタルしていたな……」
「よし!!…交換分の車いすを持っていけ……ついでに同機種交換してこい…」
 
主任
「あのぅ………」
主任が遠慮しながら課長に質問する
「うちの会社はメンテナンスとかしなくていいんですかねぇ?……同業の他の会社は大体やってますけど……」
 
課長が答える
 
課長
「メンテナンスなんか必要ない!!…定期的に同機種交換さえしておけば何も問題は起こらないんだよ!!!!…それからメンテナンスなんて言葉を俺の前で軽々しく出すんじゃない!!」
課長はどうやらメンテナンスに恨みでもあるようだ…
 
課長
「いいかよく聞け!!メンテナンス部は俺が閉鎖に追い込んでやったんだ!!」
「5年前に修理屋を呼んで修理をさせた後に、お前に破れた虫ゴムを渡したことがあっただろう…あの後でクレームが起きた…」
「あのクレームがきっかけでメンテナ部は閉鎖になった」
「あの時に修理屋を呼んだのは俺の仕組んだ罠だ!!!!」
「奴にあえて修理をさせ、そのあと奴が修理した車いすにクレームを起こす為にわざわざおびき寄せてやったのだ!!‥」
「ワッハッハ!!!!」
「その後でンテナンス部は必要ないという俺の意見は、全社合同会議で承認された」
「そして俺は見事にメンテナンス部を潰すことに成功したのだ!!」
「メンテナンスなんてこの会社に必要ないんだ!!‥二度と俺の前でそんな言葉を口にするなよ!!!!」
 
主任
課長はやはりメンテナンスに強い恨みがあるようだ‥
そしてメンテナンス部が閉鎖になったのは裏で課長が関係していたのか……
しかし……自分がメンテナンスが嫌いというだけで部署を一つ潰してしまうとは……
課長はやはり恐ろしい人だ……
 
課長
「俺が苦手なことはやる必要ないんだ!!…ルールとは俺の事だ!!!!‥…俺が必要ないと思うものは全てを俺の前から消してやる!!」
「ワッハッハ!!!!」「ワッハッハ!!!!」
 
………………………………
 
二人はやがてその場を離れていった……
 
………………………………
 
何ということだ……
メンテナンス部は陰謀によって閉鎖に追い込まれていた……
そしてその陰謀に南支店の課長と主任が関係している‥…
 
この現実を受け入れることが出来ない…
私は目の前が真っ暗になり…絶望に追い込まれた…
 
………………………………
 
しかしここで…
私の中に絶望よりも強い感情が芽生えてきた……
 
………………………………
怒りだ………
………………………………
私の中に芽生えた怒りというその小さな火は、一瞬の間に山をも焼き滅ぼす大きな炎となって私の心の中で燃え続けた
 
あの二人はやってはいけないことをした‥
私の夢であるメンテナンス部を私から奪った‥
それは同時に利用者のあの笑顔を奪ったことと同じだ…
 
「絶対に許すことはできない…」
 
………………………………
しかし……それよりもだ……
そんなことよりも私には許せないことがある
 
それは…
「この会社の人間はメンテナンスのことを軽く見過ぎている」
ということだ
 
この会社の社員は何かあればすぐに同機種交換だ
 
私はそれが一番許せない
一体修理屋の何を学んできたと言うのだ
それはメンテナンスに対する冒とくだ…
 
………………………………
 
私の中の怒りのベクトルは、もはや課長と主任にだけでは抑えることが出来なくなっていた
そして…ついに…私の中の怒りと恨みは株式会社AVECの全社員に向けられることになった
 
………………………………
 
もはや課長と主任に対する復讐などどうでもいい…
今の私はもはやそれだけで満足することはできない
 
メンテナンス部を閉鎖したことを後悔させてやる…
修理屋とメンテナンス部失ったことを地獄の底で悔い改めればいいのだ…‥
私がメンテナンスの重要性をこの会社の人間に叩き込んでやる
この株式会社ABECにメンテナンスの重要性をもう一度知らせてやる
そしてメンテナンス部を復活させるのだ!!
 
私には大きな野望が見つかった
いや…これはむしろ私に課せられた使命なのだ
 
この使命を達成するためには作戦が必要だ
なにか…大きなインパクトが必要だ!!……
私はついに事件を起こすことを決意した…
 
………………………………
 
別に標的など誰でもよかったのだ……
 
新人のホープとか言ったか……あいつの依頼数はずば抜けている…‥あいつの周りには車いすが集まってくる…
 
たまたま支店内で2件の連続クレームが起きていた…両方ホープのクレームだ……一件目は訪問時間のトラブル……二件目は車いすのクレームだ…
 
丁度いい…このクレームに私の陰謀を忍ばせることにしよう……
丁度またウィズ社から車いすが2台届いた‥…
またホープの車いすだ……この車いすに細工をしてやろう……まずは虫ゴムからだ……
 
私はホープが依頼したこの2台の車いすの虫ゴムを、両方破れた虫ゴムに交換した
 
メンテナンス部を閉鎖に追い込んだのと同じトリックだ……
すぐにはクレームにはならない……騒ぎが起こるのは約1週間後だ…
お前たちには決して原因は分からないだろう……メンテナンスを学ばなかったことを後悔すればいいのだ…
 
……………………………
………………………………
 
2台の車いすは1週間後にパンクした……南支店が慌てふためいている……しかし……まだまだ地獄は続く……次は主任の車いすが届いた……丁度いい…お前には直接復習したいと思っていたところだ…
 
私は翌朝早くに出勤し、車いすに細工をした
ハンドルのネジをわざと緩めてやったのだ
これでこの車いすもクレームになる
そしてこの車いすは現在ウィズ社に在庫が無い…事前に調べておいたので間違いはないはずだ
だからAVEC社員の得意の同機種交換をすることは不可能なのだ
アッハッハッハ
 
私の計画は完璧に進んでいた…はずだった…
 
作業が終わり事務所に戻ると、あることに気が付いた
 
「…イヤリングがない……」
 
私は作業中に車いすの中にイヤリングを落としてしまったのだ……
 
すぐに探しに行こうとした……
すると事務所に人の気配がした…
社員が出勤する時間になってしまった…
しまった……これでは探しに行けない……
 
見習い社員にイヤリングが無いことを指摘されてしまった……あいつは本当に空気が読めない……余計なことを言うんじゃない!!‥…
 
まぁいい…まだ誰も真実には気付いていないだろう…‥それにあの車いすはクレームですぐに戻ってくる‥その時にゆっくり探すとしよう…
 
車いすは予定通りハンドルグラつきでクレームになり、事務所に戻ってきた…
しかしここで予想外の事態が起きた…
なんと社員が車いすを修理してしまった…
まさか修理屋が南支店に紛れていたとは……修理屋スグル…奴は一体何者だ……
 
まぁいい…車いすはまだ事務所の中にある……
明日の朝ゆっくりイヤリングを探すとしよう…
 
続く
 

修理屋スグルと沈黙のFIVE LIARS.12  最終章  真相編④

2022-10-12

「一連の事件の犯人はあなたですね……花子さん……」
オレはそう彼女に告げた
 
全てを知りながら静かに混乱を楽しみ……南支店の人間に嘘の姿を見せ続けてきた……沈黙のLIAR(犯人)の正体は花子さんだったのだ…
花子さんは昨日朝早く出勤して、主任の車いすに細工をした…
そして作業中に車いすの背シートの裏に、恋人からプレゼントされたイヤリングを落としてしまった…オレは修理中に偶然そのイヤリングを見つけたのだ…
 
オレは彼女に問う
「どうしてこんなことをしたんですか?……理由を教えて下さい」
しばしの沈黙のあと……彼女はゆっくりと話し始めた……
 
………………………………
 
【LIAR CASE.3】 真犯人花子さんの嘘
 
この南支店に私が初めて来たのは今から5年前だ‥…
当時の私はまだ大学生…
インターンシップ生として株式会社ABECで研修を受けていた…
営業同行や事務研修で、私は社会について学ぶことができた
それは今までバイトしか知らなかった私にとって、かけがえのない充実した日々だった‥…
やはりバイトと社会人では責任の重さが全く違う…
私も早くこんな社会人になりたい…心から思っていた…
 
………………………………
インターンシップの最終日の私の配属先はメンテナンス部だった…
当時の私はメンテナンスなどまったく興味がなかった…
オッサンだらけの汗臭い部署だと思っていた…
 
「なんだ…最終日はハズレか……」
私はそう感じた……
 
午前中はメンテナンスセンターでの実習だった…
私の研修員に就いたのは一応この部署のトップの人間だった
自分のことを修理屋と呼んでいる
「ダサっっ……修理屋って一体なんなのよ……」
私は笑いを我慢しながら研修を受けていた
 
………………………………
 
研修が始まって30分後……
私の思いは全て覆されることになる……
 
この修理屋という男は壊れた車いすをあれよあれよと瞬く間に修理していった
先程まで壊れていた車いすが次々と息を吹き返していくではないか…
私はその光景に呆気にとられていた……
 
私も試しに修理を教えて頂いた…
工具に触ったことなんて初めてなので、もちろんうまくいくことはなかった‥
しかしなんなのだ…この気持ちは……
今までの研修では決して体験することの出来なかった…自分の人生で一度も味わったことのない充実感だ…
メンテナンスとはこれほどまでにやり甲斐を感じることができる仕事だったのか……
私の心は徐々にメンテナンスに奪われていった…
 
………………………………
………………………………
 
午後からは実際に利用者様のお宅に訪問しての修理だった
 
色々な利用者様がいらっしゃった
レンタル中の商品が壊れてしまった利用者様……
自分が購入した車いすの修理が必要な利用者様…
そして始めは怒られていた利用者様……
 
修理屋がメンテナンスや修理をするたびに、利用者様はみんな笑顔になっていった
最初は車いすが故障したと怒られていた利用者様も、修理が終わる頃にはみんな笑顔になっている
 
「そうか…魔法なのだ……」
「修理とは利用者を笑顔にする魔法だ」
「そして修理屋とは人々を笑顔にする魔法使いだ」
 
私は同行中に感動しながらその場面を目に焼き付けていた
そして私の将来の進路はこの時点でほぼ決まりきかけていた…
 
………………………………
………………………………
 
研修もほぼ終わりかけの頃、修理屋は一本の電話に出た
電話は株式会社ABECの南支店の課長からだった
 
「彼とは同期の仲だ‥‥もう一件だけ付き合ってくれ!!」
と修理屋に言われ、私達は南支店に向かった
 
南支店に着くと、そこには大歓迎が待っていた
 
「君が来てくれればもう大丈夫だ……任せたぞ修理屋!!」
と、南支店の課長が修理屋に言う
 
この時の私はもはやこの修理屋を誇らしげに感じていた‥
そして……私も将来は修理屋になりたい……そんな気持ちが私の中に芽生え始めていた
 
………………………………
………………………………
修理屋はこの南支店での修理もすぐにやり遂げた
 
部署の人間が全員感謝している
修理屋とはなんて素晴らしい仕事なのだ
関わる人々がみんな笑顔になっていく
 
私は絶対に株式会社ABECに入社する…
メンテナンス部に入り修理屋になる…
そして世の中の人々を全員笑顔にするのだ……
 
私の夢が確定したところで…インターンシップ研修は終わりを告げた……
 
………………………………
………………………………
 
それから私は必死に勉強した
AVECに入社したい一心で面接の特訓も行った
その合間に自己流でメンテナンスの勉強もした…
 
そうして大学生活が終わりに近づく頃には……私は憧れのAVECから内定を頂いていた……
 
………………………………
………………………………
 
AVECに入社して1ヶ月……
新人研修も終わり、今日は配属先が決定する日だ!!!!
一応希望の配属先を聞いてくれるらしい……
 
私の思いはもはや爆発寸前のマグマだ!!!!
ついに修理屋になるという願いが叶う日がきたのだ
 
「私はメンテナンス部に入って、修理屋になりたいです!!!!それで私に関わる全員を笑顔にします!!!!!!」
 
私は自信満々にそう言った…
 
しかし………
 
「………………………」
 
「弊社のメンテナンス部は昨年廃止になりましたよ……」
 
「………………………」
 
「えっと…確か花子さんでしたね……」
「君の配属先は南支店ですね……」
「明日から南支店で営業事務として頑張って下さい」
 
「………………………」
 
………………………………
………………………………
 
目の前が一瞬で真っ暗になった……地獄の底に突き落とされたような気分だ…メンテナンス部が閉鎖になっただって……一体どういうことだ……
あの修理屋さんはどこに行ってしまったのだ…
私の夢はどうなるというのだ……
………………………………
私の中の全ての思考回路が停止したような感覚だった……
………………………………
 
結局私は南支店に配属されることになった
南支店の上司は課長と営業主任のお二人だった…
「あっ……インターンシップの最終日にお会いした二人だ」
一人は修理屋さんと同期の課長……そして営業主任はあの時修理屋さんに車いすをメンテナンスしてもらった人だ……
でもお二人とも私のことは覚えていないようだ…
無理もない……インターンシップの最終日に少しお会いしただけなのだから……
 
………………………………
 
配属されて数年…私もそれなりに仕事が出来るようになった
そして今年は新入社員が二人も南支店に配属されてきた‥
一人はしっかりしている未来のホープ……もう一人はちょっと頼りないまだ見習い中の新人くん‥…
私もいつまで夢ばかり追いかけてはいられない…
修理屋になる夢はいったん諦めよう……
一社会人として後輩の頼りになる立派な社会人にならなくてはいけないのだ…
 
そう思っていた………
あの話を聞くまでは………
 
続く

修理屋スグルと沈黙のFIVE LIARS.11  最終章  真相編③

2022-09-12
【現在  南支店】

一体なにがどうなっているというのだ…課長と主任は何の話をしていたのだ??
意味がわからない

そして主任が持ち帰ったハンドルぐらつきの車いすもどうにかしなければならない
AVEC社 南支店は現在大混乱だ

「まぁ別に同機種交換すればいいだけじゃないか?」
「おいスグル……交換できる車いすを手配してやれ!!」
課長が言う

オレは課長の指示通り同機種交換の車いすを手配しようとする
オレはウィズ社の東大阪センターに電話する

「お世話になっております……実は大至急用意して頂きたい車いすがあるのですが……」

「………………………」

「そうですか……分かりました……失礼致します………」
オレは同機種交換依頼の電話を切った……そして課長に結果を報告する

「課長だめでした…残念です…この車いすは、現在欠品中で在庫が用意できないそうです!!…」

やられたっっ!!……クソッッ!!……
犯人は今回はあえて在庫の無い車いすに細工をしたのだ
なんて用意周到で頭の切れるヤツなんだ…

オレは主任が持ち帰って来た故障した車いすを見る
そして車いすのハンドルを触る
(写真)車いすハンドル/左右にグラつきがある
「こ……これは………」
主任の指摘通りに、ハンドルが左右にグラついている…!!!!

車いすのハンドルは、車いすを押す際に介助者が持つ場所だ…
「なんてことだ……こんなにグラついていては安全に車いすを操作することができないぞ」
オレの心の中で悲鳴に似た絶叫がこだまする

そしてこの車いすにも見覚えがあるぞ…!!
オレが南支店に潜入する前に、東大阪センターでメンテナンスした車いすだ…!!
間違いなくハンドルにグラつきなど無かったはずだ…!!
ここでオレの中に犯人に対する怒りが込み上げてきた…
「よくもこんな細工をしたな……一体メンテナンスのことを何だと思っているのだ……」
「使用される一人一人の利用者の安全を願って、修理屋が命をかけてメンテナンスをしているんだ!!……その思いを冒涜するなど許されることではないぞ!!」
「許さん……許さんぞ……」
「この不良品の車いすを使った利用者様がケガをしたら、どう責任を取るつもりだ!!!!」
「利用者様のことをなんだと思っているんだーー!!!!!!」

オレの怒りは頂点に達した!!
もう勘弁することは出来ない

オレは自分のカバンの中から工具を取り出す
こんなこともあろうかと、いつも自分のカバンに工具を携帯していたのだ

「ちょ…ちょっと…君は何をしようとしているんだね?」
工具を持ち、車いすに向かうオレに課長が問いかけた

「安心してください。この車いすはオレが修理します!!」
オレは課長の質問に答えた

「黙っていて申し訳ございませんでした!!…オレはこの事件を解決するために南支店に潜入していました!!」
「オレはレンタル事務ではない」
「オレの本当の正体は修理屋スグルだ」

周りの人間は言葉に困っている…全員あっけに取られているのだ
まぁそんなことは関係なしだ!オレはこの車いすを修理する!!
メンテナンスと利用者様を冒涜した罪は重い!!!!
犯人の陰謀は今ここでオレが断ち切ってやる!!!!オレはそう決めたのだ!!!!

オレは改めて故障した車いすと対峙する
もう一度オレは車いすのハンドルを握る
やはり左右にグラグラに揺れてしまう……
ハンドルを固定しているネジ
そう考えていると……ある部品がオレの視界に入った
「ネジだ‥…ネジがあるぞ!!!!」
オレはハンドルのパーツ付近に複数のネジがある事に気が付いた!!!!

「よしっ……全て締め付けてやる!!!!」
ネジはパーツがグラつかないように、固定する為に使われている場合が多い
オレはプラスドライバーを手に取る
そしてハンドル付近のネジを全て締め付けた
グリッグリッグリッグリッ…グリッグリッグリッグリッ
オレは苦労の末、ハンドル付近のネジを全て締め付けた
「オレの勘が正しければこれで修理完了のはずだ……」
オレは車いすのハンドルをもう一度握ってみる…
………………………………
「だ…だめだ…これではダメだ………」
オレは結果に落胆した…確かにグラつきは多少マシになった…

しかしわずかにまだグラついている……
これでは利用者様が安全に車いすを操作することは不可能だ!!!!

オレは必死に原因を考える
これでは犯人の思うツボだ……そしてこの車いすを使用される利用者様は一体どうなるというのだ…

「仕方がない……あれを使うしかない……」
この車いすだけは絶対に修理しなければならない!!
犯人はかなりのメンテナンスの腕前だ‥
しかしこんなことにメンテナンスの技術を使っていいわけがない…
この歪んだ野望はここで粉砕する必要があるのだ!!
オレは覚悟を決めた……そして………

「スグルアイ発動だ!!!!」
スグルアイの負担にオレの身体が耐えきれるかはわからない…しかそれがどうした……
オレの身が滅びたとしても、自分の使命を果たすだけだ!!!!
オレの使命はこの車いすを修理することだ
なぜならオレは修理屋スクルだからだ!!!!

オレはスグルアイを使った状態で、もう一度ハンドル部分を見る
スグルアイの効果で、シート部分かぼんやり透けていく
シートを透過して中のハンドル部分まで見ることが出来た
すると……車いすの背シートの裏側に何やらいくつかの物体が見えた……

「まさか……これは………」
オレは興奮しながらも冷静に、背シートとハンドルを固定しているネジを外した
そして背シートをズラしてハンドル部分をむき出し
にする
すると……驚くべき光景がオレの目に広がった!!
背シート裏側のネジ
「こ…これはネジだ……こんな所にもネジが隠れていたのか?…」
なんと背シートで隠れている部分にも、締めるべきネジが2本存在したのだ…!!

………………………………
このネジを締めればおそらく事件解決だ
オレは急いでドライバーを握ろうとする……

すると……オレは背シートの裏側にネジ以外の物体があることに気が付いた‥
オレはその物体を手に取り眺めた
そして…その正体に気が付いた
「ま‥……まさか……これは……あの人の……」
「こ……これが…ここにあるという事は…………犯人の正体は………もしかして……」



オレは驚愕の真実に気付いてしまった
しかし今は修理を完結させる必要がある
オレはとりあえずその物体を作業着のポケットに入れる
さぁ修理再開だ
オレはドライバーを手に取り、先ほどまでは見えなかったむき出しのネジを締め付ける

「ようやく引きずり出してやったぞ…そうやって隠れて裏でコソコソ企んでいたお前の野望もこれで終わりだ!!…オレと同じ時代を生きたことを後悔するんだな…」
「メンテナンスはクレームを起こすために使うんじゃない」
「メンテナンスはこうやって、車いすを修理するために使うんだーーーー!!!!」

オレは犯人の心に届けとばかりに、魂を込めてドライバーでネジを締め付けた
ネジを締め付けた後に、もう一度車いすのハンドルを握った……
「ハンドルは全くグラつかない……完全に固定されている……これで修理完了だ!!!!‥…」
オレは犯人の野望を完全に打ち砕いた!!!!
………………………………
もう夜も遅い‥…
今日はこれで解散だ……

主任は修理した車いす明日納品すると言っていた……

………………………………
………………………………
翌朝になった…
オレは朝早くに南支店に出勤した…

まだ誰も来ていない……そりゃそうだ…‥株式会社AVEC社の始業時間は朝9時……今はまだ朝の7時だ……

オレは息を殺してある人が来るのを待つ…
「オレの推理が正しければもうすぐ犯人がここに来るはずだ」
オレは昨日 修理中に見つけた物体を握りしめながら……その時が来るのを待つ……ただひたすらに待つ…

ガチャッッッ!!!!
その時‥…誰かが部屋に入ってきた
時刻はまだ7時半だ…こんな時間に誰も出勤するはずがない
部屋に入ってくると、一目散に昨日オレが修理した車いすに向かっていった
そして車いすをひっくり返したり……下から覗いたり……何かを探しているようだ‥

「探し物はこれですね?」
オレはその人物に話しかける!!そして手に握っていた物体を見せた

「これが車いすの中にあったということは…この車いすに細工したのはあなたという事だ!!!!」
「あなたは昨日オレよりも早く出勤していた。しかし…普段そんなことは一度も無かった…」
「そして今もこれを探すために誰もいない時間に出勤したんだ…」
「犯人は間違いなくあなただ」
「教えて下さい……どうしてあなたがこんな事件を起こしたんですか?…」

オレは犯人に問いかけた…!!
「昨日これを身につけていなかったのは、車いすに細工をしている最中に落としてしまったからですね?‥…そうですね‥…?」

オレは自分の手に握っていたイヤリングを犯人に渡した…

………………………………
しばらく沈黙が続いた‥…

………………………………
そして……………………

………………………………
やがて彼女はゆっくり話し始めた…
………………………………

続く

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