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ウィズ便り




介護現場の体験談を中心に、福祉用具についてのご紹介、介護保険等に関する情報を定期的に発信させて頂きます。
弊社とお客様のコミュニケーションの一助となれば幸いです。

心温まるストーリー★介護の現場から~介護すること、されること~★

出かけたいという思いを大切に ~そっと、ちゃんと見守る、ご家族と共に~

2022-09-01
出かけたいという思いを大切に ~そっと、ちゃんと見守る、ご家族と共に~
 いつお会いしてもニコニコ笑顔なYさんに初めてお目にかかった時は、とても丁寧にお声掛け頂き、まるで祖父母の家に遊びに行った時のような温かさや安心感に包まれたことを覚えています。Yさんはご主人と長年住み慣れた地域で過ごされ、お互いがお互いを気にかけられる素敵なご夫婦で、また周りの方への気遣いも素晴らしいお人柄でした。

 ケアマネジャーから最初にご相談いただいたのは、Yさんがご自宅に帰って来られず、見つからない、そんな不安な日々が起こり始めた時のことでした。最寄りのコンビニに日用品を買いに出られたYさん。ご家族はいつもの時間に帰ってこない為心配になり、迎えに行くと、コンビニ近くで違う方向に歩くYさんを見つけました。道がわからなくなり少し動転してしまい、帰れなくなったとの事でしたが、その後もふらっとお声掛けなく外出されることが増えました。

 当初は一時的なものだと思い、行く先も決まっていたので、外出されるタイミングが把握できれば安心できるとのことでした。ご要望に沿って、玄関ドアの開閉時に通知が鳴る徘徊感知器をご提案、設置させて頂きました。徘徊感知器のご利用により、出て行こうとされる時にご主人が気付くことができ、お声掛けをしてなだめたり、Yさんが出かける目的を主張される時は、そのまま見送られたり等の対応ができるようになりました。

また、ご帰宅が遅い時はお迎えにいかれました。

Yさんの行動が落ち着かれ、ご主人もYさんの行動が把握できてきた矢先、いつもの行動範囲とはかけ離れた遠い場所に行ってしまわれることが起こりました。ご家族も気にはかけておられましたが、四六時中、緊張感を持って対応されることによるお疲れも積み重なっておられました。再度、ご家族を含め担当者会議を行い、Yさんが住み慣れた環境で、買い物に出かける役割を果たしたいというご自身の思いや活動性を尊重しながら、安全に過ごすことができる環境整備を作り上げていくことになりました。
導入を検討した機器は、設定した距離よりYさんが遠くへ移動すると、家族に通知が届き、ご自身の位置情報を家族が検索できる「お散歩コール(テクノスジャパン)」という商品です。

この商品の導入により、Yさんは今まで通り、馴染みのスーパーやコンビニに出かけることを楽しまれ、また必要に応じて、ご家族がYさんの位置情報を検索することで、想定外の行動にも迅速に対応できるようになりました。
悪天候の中、Yさんの所在がわからなくなった際には、遠方にお住まいのご家族が位置情報を確認し、現地にいるご主人に伝え合いながら、ご家族同士で対応され、ことなきを得たそうです。天候も崩れ、日も暮れ始めて不安が募る中、福祉用具を活用し、Yさんが無事帰宅できたことについて感謝いただき、私自身もご家族のお言葉に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
しばらくし、Yさんはご夫婦がより安心できる環境へ生活環境を変えられていくことになり、商品の役目も終えることになりました。

しかし、Yさんの行動の段階にあわせて福祉用具を活用することで、Yさんご自身が望む在宅生活を、ご家族と共に支援できたことは、私たち福祉用具専門相談員にとっても喜びとなりました。
いつもご自宅に伺うと、私たちへの応対が優先で、ご自身の席がなくなっても気にせずおもてなしして下さったこと、そのお心遣いと笑顔が今でも心に残っています。
 


株式会社 ウィズ 東大阪センター 福祉用具専門相談員 則定学

いつまでも自分らしさにこだわって暮らしたい!

2022-08-01
いつまでも自分らしさにこだわって暮らしたい!

Aさんは94歳の女性、長年一人暮らしをエンジョイされ、今も自分の思うままの生活スタイルを続けておられます。


しかし、これまでに転倒による左橈骨遠位端骨折(整復後ギプス固定)、左大太骨転子部骨折(骨接合術)第12胸椎圧迫骨折(保存療法)と高齢者の4大骨折のうちの3つの骨折を体験。その都度、元の生活に戻ることを目指して努力してこられました。


 2回目、83歳の時の骨折では、退院時、リハビリの先生から、歩行器はずっと手放せないことになると言われ、リハビリのためディケアに通うことを勧められましたが、Aさんは拒否。
名取になられた日本舞踊を続ければ歩けるようになると主張。
日本舞踊はバランスが大事、軸の通った動き、滑らかに弧を描く動作を必要としているので必ず良くなると、一人で練習に励まれました。

その結果、屋外歩行も可能になり、ご自身で着付けやお化粧をされ、デイケアの利用はされず、ゲストとしてデイケアで舞を披露するまで回復されました。

 現在は、日常生活では毎日歩いて15分くらいの所にある喫茶店に行き、顔なじみの方と一緒に食事や話をすることを大切にされています。
近くの公園を散歩したり、好きな書物を買いに行かれたりと、ご自身のペースで外出を楽しんでおられます。
歩行は不安定なため、リハビリの先生から歩行器を使用するように指導されましたが、Aさんは歩行器を押して歩きたくないと主張。それもAさんのライフスタイルであると家族様も納得され、歩行器は使わずに、とてもおしゃれな杖で歩かれています。おしゃれな杖でしっかりと歩いているところを見てもらいたいというAさんの思いを大切にしながら、転倒防止の為に、訪問リハビリによる歩行能力の維持を図り、Aさんにもご自身の責任において、ゆっくりと慎重に歩くように意識をしていただいています。

 日常生活の動作も、多くの自助具や福祉用具を上手く使いこなし、ペットボトルや瓶の蓋も他人の力を借りることなくご自身で開けることができておられます。
また、お風呂好きで昔から毎日湯船につからないと気が済まない性格のため、その望みが叶うように、浴室には手すりやシャワー椅子を設置し、今でも毎日一人で入浴を楽しんでおられます。

 自宅環境では、Aさんこだわりの彫刻が施されたお姫様仕様の木製ベッドを利用。ベッド上での動作がしにくくなってきても電動ベッドを拒否、大切なベッドを使い続けるため、ベッドサイドに据え置き式の手すりを設置し、動作練習をされました。今もお気に入りのベッドで心地よく眠ることができています。

Aさんから学ばせていただいたことは、個々のライフスタイルや生活のこだわりを尊重しながら、併せて安全も考慮した環境整備をしていくことが、意欲的に自分らしく生活するためには不可欠だということです。自分らしく満足できる生活を送るためには、その人のこだわりを大切にした支援をすることがとても重要であることに気づかされました。
 

リスク(Risk)は、損失の機会(Chance of Loss)ともいい、その語源は「行動することによって(あるいは行動しないことによって)危険に遭う可能性や損害を被る可能性を意味する概念」です。それはある意味、チャレンジすることを推奨する概念とも言えます。高齢者が自立を目指されるには、時に可能性の追求やチャレンジも必要です。そしてその為に、専門家によるリスクマネジメントの視点、住環境整備や福祉用具活用等が必要となります。


株式会社 ウィズショールーム 介護支援専門員 海原義公

Aさん奮闘記 〜⻘春は永遠〜

2022-07-04
Aさん奮闘記 〜⻘春は永遠〜
 Aさんは90歳⼥性。
お孫さんが社会⼈になられ、娘さんの⼦育てが⼀段落されたのを転機に、バリアフリー のマンションを借りて、娘さんと⼆⼈暮らしを始められました。  Aさんはたくさんの疾患を抱えながらも、明るく暮らされています。
変形性腰椎症、⾻粗鬆症、圧迫⾻折を繰 り返し、背⾻は丸く変形。狭⼼症や腹壁ヘルニア、胆嚢炎、顎関節症など、⼿術もたくさん経験されてきました。 横になるのも起き上がるのも、電動ベッドと娘さんの助けが必要、⾃宅内の移動にも歩⾏器が必要です。また、 背中が丸まっている為、楽な姿勢をとるにも⼯夫が必要です。様々なクッションを活⽤したり、⾷事の際には、 ⾼さ調整のできるテーブルを設置するなど、快適な姿勢を保つ為に、福祉⽤具等を導⼊して、⽣活の中で⼯夫を 凝らして過ごされています。
常に前向きに、⾃分のできることを増やし、⽣活向上を⽬指してこられました。⼈ との交流が⼤好きで、ディサービスでも⾊々なアイディアを発信、ディサービスを改善していく⼀役を担ってお られます。  ⽣活環境でも、マンションから⼀軒家に引っ越すという計画を進めていかれます。10年以上住んでいても、 マンションでは近隣との交流が全くなく、⾼齢になり地域の⼈と交流しながら、助け合って暮らしていきたいと いう思いが⽇に⽇に膨らみ、娘さんと物件を探し、古い連⼾の2階建て住宅を⾒つけて引っ越しを決断されます。 しかし、バリアフリーのマンションとは違い、道路から⽞関までに段差、上がり框も段差、トイレ⼊⼝にも段差、 階段は急な⼀直線。福祉⽤具事業所も転居先を訪問し、電動ベッドの移動、⼿すりの設置、歩⾏器の再選定等、 慌ただしい中、迅速に対応していただきました。
さらに、娘さんがDIYで冬の寒さをしのぐ⼯夫をされたり、 かわいいカーテンをつけたり等々、古家を暮らしやすくプチリメイクされました。  娘さんは太極拳や太極柔⼒球、書道、茶道等プロ級の腕前で、施設等でスクール を開催、ボランティア活動をされています。
年前、そんな娘さんが、お⺟さんと ⼀緒に⽬標を持って取り組めて、体にも良いことはないかと探され、「腰かけタッ プダンス」という、座ってできるダンスに出会われました。
早速、近くにダンスス クールも⾒つけ、2⼈で通い始められました。1つの曲を、数10名で1年かけて練習 し発表会を⽬指されます。
その中で最年⻑のAさんは、誰よりも練習を重ね、⾒事 なダンスを披露されました。達成感が⾃信になり、毎年新しい曲にチャレンジされ ています。 

この年齢で環境が変わることに対するケアマネジャーの⼼配をよそに、Aさんは ご近所の⽅との交流を楽しみ、地域の様々な資源や活動を⾒つけ、毎⽇新しい発⾒ があると⽣き⽣きされています。最近は、⼤好きなネコちゃんが家族に仲間⼊り、 さらに刺激のある⽣活を楽しまれています。Aさんは、どんな暮らしがしたいかと いうことを、1つ1つ実現していかれます。マンションの⽅が安全では、といった私 の固定観念を崩し、⼀番⼤切なことは何かを教えて下さいます。これからも、⾃分 たちの望む⽣き⽅を進んでいかれるAさん、娘さんを応援させていただけることが とても楽しみです。
 
株式会社ウィズショールーム 介護⽀援専⾨員 記⻁加代⼦

ナーシングラッグファンが増えました!

2022-06-03
今回ご紹介させて頂く方は、明るくていつも楽しいお話を聞かせて下さるNさん85歳、新商品であるNRマットレス導入第一号の方です。

NRマットレスは床ずれ防止用具にあたります。圧分散効果が高く、ただ柔らかいだけでなく寝返りや起き上がり動作を促進してくれる、相反する機能を備えた商品です。

Nさんが導入に至った経緯は、昨年、眩暈から玄関先で転倒、左大腿骨大転子骨折、左手首骨折(橈骨遠位端骨折)にて手足ともにプレート固定の手術を行い約3カ月間の入院生活となりました。リハビリを頑張られた甲斐もあり、退院後はこれまで通りの生活を送っておられましたが、Nさんにとって一つだけどうしても我慢ならない問題が。それは、毎日の就寝時、左踵がひどく痛み、辛くて眠れないとの訴えでした。Nさんは大腿骨骨折後、過去に右股関節も手術済み、右膝の痛みもあり寝返りをうつ事ができず、仰向けのまま休まれており、踵が圧迫され痺れるような感覚からはじまり、段々と疼くような痛みに変わり、右足で左足をすくって浮かしてみるも今度は右足が痺れてしまい、ゆっくりと休めない日々が続いておられました。踵に何かを当てる、挟む、サポーターのようなものを装着する、手段は色々ありますが、骨折後、靴下を一人で履く事ができません。踵の下に何かを敷くにも位置がずれてしまうと意味がありません。そんな時にNRマットレスを提案させて頂きました。お試しで導入後、Nさんからの第一声は、「これ、すごく良いよ」「なんでもっと早くこのマットを紹介してくれなかったのよ~(笑)」と、喜びのお声でした。踵の圧や痛みの解消だけでなく、寝返りのうてない全身の圧分散、床ずれ予防に繋がっただけでなく、夜間何度もトイレに行かれるNさんにとっては、起き上がりや立ち上がりの動作面がスムーズに行えるようになった事も喜びの一つでした。
ナーシングラッグマットレスとN様
5月初旬の肌寒い日々が続いた際には、
「こんなに冷え込むのに、このマットで寝ていると温かくて電気毛布がいらないわ、ふと気づいたの!」と、Nさんは一年中電気毛布を使ってこられた事もあり、これから春夏秋冬、季節ごとのマットの良さを研究したいと、先日伺った際に楽しそうにお話して下さいました。

訪問の度にこのようなお声が聞けるのは嬉しいだけでなく、生活に変化をもたすら事ができた達成感をNさんと一緒に共感できた事が、何よりの収穫でした。今回、貴重なお話をお聞かせ頂いたNさん、ありがとうございました。


株式会社ウィズショールーム 福祉用具専門相談員 草木沙緒

自分のしたい事があるって素敵

2022-05-18
おしゃべりが大好きな女性Iさん。当時69歳。夫が50歳台で他界後、働きながら二人の息子さんを立派に育てられ、社会人である次男様との二人暮らし。そのIさん、若い頃から下肢に関節症があり、病状の悪化から左足全体を切断することになってしまいました。切断される前は、自宅内の壁をつたいながら歩いたり、歩行器を使用したりしていました。外出される際には、屋外に保管している電動カートを使用し、買い物や友人宅へ出かけておられました。

しかし、左下肢の切断手術後は完全に車椅子生活となり、いざ病院から家に帰って生活しようとしても家の至る所に段差があり、家に入ることすら一人ではできませんでした。そこで、介護保険制度の住宅改修と福祉用具、市の助成金を利用し、玄関前はスロープ、玄関扉を引き戸に変更、土間は広げて電動カートが入るようにしました。土間の段差(上がり框)は電動で昇降する椅子付のリフトをレンタルし、これにより電動カートからの屋内進入が容易となり、廊下側にある屋内用車いすに移乗することで、自分一人で屋内外の移動が可能になりました。屋内用車いすの操作は、両手と右足で舵をとり、自由に移動が可能です。その他、トイレは引き戸に変更し、浴室にはシャワーイス、手すりや入浴用リフトを導入しました。また、自分で料理ができるように車いすでも作業できるシステムキッチンも導入しました。

Iさんの生活に対する希望は、「車いす生活であっても自分一人で家の事(日常生活)ができ、そして好きな時間に一人で外出し、友人宅でおしゃべりして買い物に行くこと」です。Iさんの生活意欲が非常に高いことや介護保険の福祉用具レンタル、住宅改修を行うことで、足が不自由であっても車いす生活で自立し、ご自身の望んでおられる生活が実現できておられました。Iさんは、私達ウィズからの依頼で行政の方が参加するシンポジウムで、福祉用具の重要性についてパネリストとして登壇して頂き、ウィズにとっても大変お世話になっていました。そのようなIさんらしい生活が10年以上も続き、福祉用具を利用することで、介護度も自立により近い要支援となり、同居していた次男様がお仕事の都合で遠方に引っ越され、環境が変わられた後も、お一人で身の回りのことをこなされていました。 

電動カートでお出かけされるI様
私達は、福祉用具の専門職として定期的にご訪問し、機器の定期点検以外にも福祉用具の利用が目的に合っているのか?使用には問題ないか?役立っているのか?身体への負担は軽減しているのか?また、更なるしてみたい事が増えているのか?など日々、変化していくIさんの気持ちに寄り添いながら、レンタルの福祉用具を変更し、末永いお付き合いをさせて頂きました。

残念ながら、今年3月に他界(享年82歳)されましたが、最後までご自身で前向きに物事を捉え行動していく姿は、たくましく尊敬致します。私達にとっても仕事へのやりがいにも繋がり、感謝しかありません。今でも元気よく私達にお話しして頂いた時の事、鮮明に記憶しております。天国でもIさんはきっとお友達とおしゃべりをして、毎日笑顔で賑やかに過ごされている事と思います。ご冥福をお祈り申し上げます。
 
 
株式会社ウィズ 作業療法士 淵上敬史
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